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2021 年度 実施状況報告書

肝臓脂質代謝のエピゲノム制御に着目した果糖誘導性脂肪肝とその予防に関する基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K02073
研究機関岐阜大学

研究代表者

島田 昌也  岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (10576755)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード果糖 / 肝臓 / 脂肪酸合成 / アセチル化ヒストン / イノシトール / 酪酸
研究実績の概要

果糖の過剰摂取は短期間で肝臓の脂肪酸合成の促進やトリアシルグリセロール(TAG)の蓄積を誘導する(単純性脂肪肝)。このような肝臓の脂肪酸合成促進やTAG蓄積が食品成分によって予防された際に,脂肪酸合成系遺伝子のプロモーターからgene bodyにおけるエピゲノム情報(特にヒストンアセチル化)がどのように変動するかをin vivoで解析を行った。果糖を豊富に含む食餌(高果糖食)あるいは高果糖食にミオイノシトールを補充した食餌を短期間摂取させたラットから肝臓を採取し,リアルタイム定量PCRによる脂肪酸合成系遺伝子の発現量およびクロマチン免疫沈降法による脂肪酸合成系遺伝子(プロモーターからgene body)のヒストンH3およびH4のアセチル化を測定した。その結果,ミオイノシトールの補充は脂肪酸合成系の遺伝子発現量を減少させ,さらにこの減少には脂肪酸合成系遺伝子gene bodyのヒストンH3アセチル化の低下および脂肪酸合成系遺伝子プロモーターのヒストンH4アセチル化の低下が関与していることが示唆された。また,高ショ糖食にヒストンの脱アセチル化阻害剤としてよく知られている酪酸ナトリウムを補充した食餌をラットに摂取させたところ,肝臓の脂肪酸β酸化系遺伝子の発現亢進ではなく脂肪酸合成系遺伝子の発現抑制が観察された。これは酪酸が脱アセチル化阻害剤(アセチル化の亢進)として作用するよりもむしろアセチル化の抑制に関与することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

果糖誘導性の単純性脂肪肝がミオイノシトールによって予防された際に,肝臓脂肪酸合成系遺伝子上のアセチル化ヒストンH3とアセチル化ヒストンH4が異なる応答を示すことを明らかにできたため。現在このデータをまとめて論文投稿準備中である。また,酪酸ナトリウムによる肝臓TAG低下作用に関する内容を論文化できたため。

今後の研究の推進方策

果糖が誘導する単純性脂肪肝およびそれが食品成分によって予防された肝臓において,脂肪酸合成系遺伝子のプロモーターからgene bodyにおけるエピゲノム情報(ヒストンの各リシン残基のアセチル化,HATs,HDACs,BRD4,CDK9など)がどのように変動するかをin vivoで検証を進めていく方策である

次年度使用額が生じた理由

今回生じた次年度使用額は本試験用の試薬(サイトカインのシグナル解析用)を購入するために使用する予定であった。しかしながら,これは新たな解析項目であり予備実験が必要であるため,予備実験で使用する試薬の費用にとどめた。
翌年度は上記の本試験用の試薬を購入する費用にあて,エピゲノム解析と合わせて使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Dietary supplementation with sodium butyrate reduces high-sucrose diet-induced hepatic accumulation of triacylglycerols and expression of fatty acid synthesis enzymes in rats2022

    • 著者名/発表者名
      Hattori Y, Tsutsui S, Yamada C, Kobayashi Y, Nakagawa T, Shimada M
    • 雑誌名

      J Oleo Sci

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] マルトビオン酸が高脂肪・高ショ糖食負荷ラットの糖・脂質 代謝に及ぼす影響2021

    • 著者名/発表者名
      山田 千尋, 原 誠弥, 末廣 大樹, 中川 智行, 早川 享志, 島田 昌也
    • 学会等名
      第79回 日本栄養・食糧学会 中部支部大会

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公開日: 2022-12-28  

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