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2023 年度 実施状況報告書

和食の調理技法が調味料の浸透と味強度に与える影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K02076
研究機関秋田県立大学

研究代表者

石川 匡子  秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315598)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード調理技法 / 塩味強度 / 減塩
研究実績の概要

生活習慣病予防には減塩が必須だが、減塩食品は「薄味で美味しくない」ため、十分に食生活改善が進んでいない。食感は、咀嚼に伴う唾液への味成分の溶出に影響する。口内で味持続時間が長いと満足感が強くなる。そのため、食品の硬さと粘性(とろみ)が塩味増強に影響を与えると考えた。調理では、味をしみこみやすくする「下ゆで」、とろみを利用し口触りをなめらかにし冷めにくくする「あんかけ」という技法がある。本研究ではこれら調理技法が食感や味持続時間へ与える効果を、理化学分析によって明らかにすることを目的とした。当該年度は前年度に引き続き、煮物モデルとして野菜の下ゆでによる「食材組織の変化・軟化」と「調味料の浸透度合」「咀嚼時の崩壊のしやすさと味成分溶出」との関係性を検証したところ、下処理方法によって、煮物モデルの硬さや崩れやすさ、圧縮時の水分溶出量にも違いが確認された。さらに、これらサンプルの官能評価を実施し、味強度と水分溶出量との関係について検討した。その結果、同程度の塩分濃度であっても、柔らかいもしくは崩れやすい食品ほど、塩味を強く感じ、口に含んで咀嚼し始めてから塩味を感じるまでの時間が短くなっていた。このことから、同程度の食品であっても、咀嚼時に崩れやすいもののほうが味成分の溶出が顕著であり、それが味強度に繋がっていると考えられる。また、「あんかけの粘性」「味の持続時間」の関係性について、同程度の硬さと塩分に調整した煮物モデルサンプルを対象に、官能評価により味強度と持続時間を検討した。その結果、あんかけした方が味が強く感じると評価された。以上の結果から、食品の崩れやすさ・味成分の溶出のしやすさが味強度に影響を及ぼすこと、さらにとろみを付与することで味強度に効果的に働くということが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

R4度まで、新型コロナの感染防止のため、官能評価が制限されていた。R5はその影響も少なくなり、徐々に官能評価を進められたものの、これまでの遅れを取り戻すまでには至っていないため、もう少し検討が必要である。

今後の研究の推進方策

R6年度も引き続き「粘度と味持続時間の関係解明」について官能評価や味覚センサ測定を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

論文投稿料を計上していたが年度内の発表ができなかったことにより、差額が生じた。R6は様々な粘度の食品の味覚センサ膜を検討しており、膜への負担が大きくなると予想されることから、残金は、味覚センサ膜やその消耗品の購入費に充てたい。

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公開日: 2024-12-25  

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