研究課題/領域番号 |
21K02083
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
石原 久代 椙山女学園大学, 生活科学部, 教授 (50193347)
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研究分担者 |
山下 健 椙山女学園大学, 生活科学部, 講師 (50783990)
山縣 亮介 名古屋学芸大学, メディア造形学部, 准教授 (80647610)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 色彩調和 / AI / 色差 / 2色配色 |
研究実績の概要 |
色彩調和はファッション、インテリア、商品パッケージなど多くのデザイン分野のカラーコーディネートにおいて非常に重要な理論である。しかし、これまで展開されてきた色彩調和論の多くは60年以上前の理論である。これらの調和論展開のための表色系は、我々が一昨年の研究の中で知覚的均等色空間L*,a*,b*で測色したところ表色系内の色配列は等差性が乏しく、問題があることが判明した。そこで本研究の目的は色彩調和論を基礎から見直し、現代社会の感性に合ったAIシステムを用いた汎用性のある色彩調和を再構築し、生活環境内のデザインに広く利用することである。その最初の段階として昨年度は以下のように研究を実施した。 色彩には色相・明度・彩度の3つの属性が存在するが、今回の備実験では、球体のL*,a*,b*色空間の高彩度域の色相の差についての評価実験データ80,000組を用いての展開であったことから、その他の明度・彩度を変化させた試料を作成する。作成はPCにて行い、特殊用紙にプリントアウトした色票のL*,a*,b*正確に測色し、繰り返し調色を行い、数値を決定した。正確に測色された均等な32色から2色配色722試料を抽出し、実験試料を作成した。これらの試料を用いて、200名の被験者に予備実験と同様に「非常に調和している~全く調和していない」の6段階評価で調和度についての評価実験を行った。 被験者から得られた144,400組の回答データを学習データとして全統合のニューラルネットワークを構築した機械学習モデルを構築し、繰り返し学習を実行した。 次に2色配色において、高彩度領域10色、高明度領域10色の面積比を1:3および3:1の実験試料を作成し、100名の被験者により評価実験を行い、1:1の配色実験との評価の違いを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験は、当初の計画通りに実施しており、研究結果は(一社)日本家政学会全国大会および(一社)日本色彩学会全国大会にて口頭発表の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の実験結果の中で面積比を変えた2色配色の調和については5月28日、29日開催の(一社)日本家政学会全国大会にて発表する。また、6月25日、26日開催の(一社)日本色彩学会全国大会にてL*a*b*色空間において色相角を均等に10分割し,高彩度域10色,高明度域10色,低明度域10色および白と黒を加えた32色の調和度データ,144,400データを用い、ディープラーニングの学習モデルを変えた確率予測に関する機械学習の結果を発表する予定である。 なお、次の実験として、これらの被験者から得られた120,000組の回答データを学習データとして全統合のニューラルネットワークを構築した機械学習モデルを構築し、繰り返し学習を実行する予定である。 一方で、昨年度実験を行った2色の面積比の違いによる評価の違いのデータをを用いてディープラーニングが適用できるかについて検討し、学習モデルの評価を行う。 また、上記の色彩調和AIシステムがファッション、インテリアの分野での適用が可能かどうかについて、実際に試作品の色彩をCG(4D-boxPLANS4)にて変えたテクスチャーの異なる配色試料を作成、確認し、汎用できるかどうかの実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、学会などすべてオンラインで実施され、旅費の支出が0となった。また、謝金などについてもアンケートを部分的に報酬としてではなく、もので渡すことになったことから報酬が少なく、その他の項目に回した。またその他の項目として、関係のセミナーなどの参加を予定していたが、コロナ禍で学外への出張の制限もあり、参加費の支出が抑えられた。
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