研究課題/領域番号 |
21K02096
|
研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
白尾 美佳 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (00352708)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 味噌 / 抗酸化 / 熟成 / メラノイジン |
研究実績の概要 |
味噌は、健康や長寿に有効であると伝承されてきたが、近年、高血圧抑制効果、胃がんや乳がんのリスク軽減効果、血糖値上昇抑制作用、神経細胞保護作用等が報告されている。これらの機能性と強い関連を有する味噌の抗酸化能は、大豆が含有するイソフラボンなどの成分や熟成過程で生成されるメラノイジンの関与が考えられている。しかし、味噌の配合割合や熟成期間と抗酸化能の関連性について、明確に示された報告は少ない。そこで、本研究では、1) 味噌の抗酸化性は原材料の配合割合、熟成期間に依存するのか、2) 味噌の抗酸化性は、どの程度熟成すれば認められるようになるのか、熟成期間中のどの時期にピークに達し、その後どのような経過をたどるのか、3) 熟成に伴う抗酸化性とメラノイジンの生成量とは関連性があるのかなどを明らかにすることである。 研究は、2021年度は、糖ーアミノ酸反応モデル系、味噌の活性酸素消去活性の測定系の構築ならびに、市販味噌での抗酸化能の測定を行った。2022年度においては、味噌の熟成期間における抗酸化性の挙動について検討した。 味噌の原材料は、大豆、麹、塩の配合割合を変えて味噌を製造し、熟成させた味噌の抗酸化能を測定した。抗酸化能は、2021年度に構築した電子スピン共鳴装置(JES-FR30EX,日本電子(株))を用いた方法にて、スーパーオキサイドアニオンラジカル、ヒドロキシラジカル消去活性を測定した。 研究結果は、味噌を製造後、1週間に比べて1か月後には抗酸化能が向上した。なお、味噌の配合割合によって、抗酸化能が異なる挙動を示した。 今後、さらに味噌を熟成させたのちの抗酸化性を測定し、抗酸化性がピークに達する時期を明確化するとともに、メラノイジン産生との関連性につい検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体的な研究については、順調に進展している。ただし、コロナ禍において学会出張などができていない。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、味噌の抗酸化性が原材料の配合割合や熟成期間に依存するのか、抗酸化性は熟成期間中のどの時期にピークに達するのか、抗酸化性とメラノイジンの関連性について検討することを主眼にした。そこで、2022年度までに、市販味噌、糖-アミノ酸反応モデル系においてメラノイジンの測定、色調、抗酸化能の測定方法の検討、アミノ酸組成の測定等基本的な測定方法の検討および自作味噌を製造し、熟成期間における味噌の抗酸化能の動態を把握できた。2023年度においては、味噌をさらに熟成させ、熟成した味噌について、前年度までと同様の方法を用いて、抗酸化能、メラノイジン、アミノ酸組成の測定を行い、熟成期間と抗酸化能やメラノイジン、アミノ酸組成の関連性を検討する。また、原材料の配合割合の違い、大豆と雑豆を利用した味噌との比較検討を行い、研究期間全体のデータ解析を行うことで、それぞれの結果の関連性を明らかにするとともに、本研究で明らかにできなかった事項、次に継続・発展できる研究内容を明確にし、研究のまとめと学会発表を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍であることから、学会等の視察で現地に行くことができずに旅費を計上しなかったため、次年度使用額が生じた。よって、学会参加のための旅費や実験試薬・器具などに使用する予定である。
|