研究課題/領域番号 |
21K02100
|
研究機関 | 山梨学院大学 |
研究代表者 |
名取 貴光 山梨学院大学, 健康栄養学部, 教授 (00528721)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | HDAC / リグナン / アントシアニジン / 寿命延伸 |
研究実績の概要 |
食品成分により誘導される抗老化作用の現象がヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の活性化調節による遺伝子制御によることを検証するため、クラスⅠのHDACに対するアントシアニジン類とリグナン類の活性調節の有無と、各変異体に対する寿命延長の検討を行った。その結果、アントシアニジン類はHDAC1に対する阻害作用、またリグナン類はHDAC1に対する阻害作用と、HDAC2とHDAC3に対する活性増強が認められた。したがって、アントシアニジン類による寿命延伸は、HDAC1、リグナン類による寿命延伸にはHDACすべての関与の可能性が考えられる。 また、これまでの検討において、アントシアニジン類のデルフィニジンおよびペオニジン、ペチュニジンには線虫の寿命延伸がみとめられている。そこで、各HDACを欠損する線虫の変異体、hda-1、hda-2、hda-3にデルフィニジンおよびペオニジン、ペチュニジンを添加し寿命延伸の有無について検討を行った。その結果、デルフィニジンはHDAC2とHDAC3の変異体(hda-2、3)に対し寿命延伸がみとめられ、HDAC1の変異体(hda-1)に対しては寿命延伸がみとめられなかった。また、ペオニジンとペチュニジンはいずれの変異体においても寿命延伸はみとめられなかった。このことから、アントシアニジン類はHDAC1を介した制御機構が存在すると考えられる。 一方、リグナン類は、すべてに寿命延伸が確認されている。そこで、各HDACを欠損する線虫の変異体、hda-1、hda-2、hda-3にシリンガレシノール、セコイソラリシレシノール、ピノレシノール、ラリシレシノールを添加し寿命延伸の有無について検討を行った。その結果、いずれの変異体においてもリグナン化合物による寿命の延伸は確認されなかった。このことからリグナン類はHDAC2とHDAC3を介した制御機構が存在すると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたクラスⅠHDACのサブタイプの検討が遅れたため、その後の変異体を用いた検討にも遅れが生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
クラスⅠのHDAC1、HDAC2、HDAC3の各変異体(線虫)の検討まで目途がついたので、続いてHDACのsiRNAノックダウンを行い、寿命延長に対する影響を検討する。その後、リアルタイムPCR等の遺伝子発現解析を行い、各HDACの関与するシグナル伝達系を検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたクラスⅠHDACの選定が遅れたため、全体の計画が延期されたため、研究機関を1年間延長し、siRNAによるノックダウンの検討や遺伝子解析を2024年度に行う。
|