研究課題/領域番号 |
21K02105
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
田口 千恵 国立医薬品食品衛生研究所, 生化学部, 主任研究官 (60444121)
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研究分担者 |
近藤 一成 国立医薬品食品衛生研究所, 生化学部, 部長 (40270623)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ゲノム編集食品 / リスクコミュニケーション |
研究実績の概要 |
これまでにいくつかのゲノム編集技術応用食品等(以下、ゲノム編集食品)が届出され国内に流通可能となっているが、ゲノム編集食品が国民に受け入れられているとは言い難い。明確にハザードを特定できないゲノム編集食品に関する理解を深める必要があるが、どのようなリスクコミュニケーションを行うと効果的であるかについては検討されていない。そこで、どのような内容及び手法の情報提供を行うとゲノム編集食品に懸念を感じる国民の理解を深めることができるかを明らかにすることを目的とした本研究を推進している。 令和3年度(1年目)は、国民にゲノム編集食品に関する情報を提供するための媒体の作成と、国民のゲノム編集食品に対する懸念の調査を行った。ゲノム編集食品に関する情報提供媒体の作成では、ゲノム編集食品とは何かを説明した5分間程度の動画を作成した。ゲノム編集食品に対する国民の懸念の調査では、国民がゲノム編集食品に対してどのように感じているか、どのような情報を求めているかを調査する調査票を作成し、webアンケートの形式で調査を実施した。結果は現在解析中である。解析結果に基づき、どのような対応が適切かを検討したい。 加えて、国民の理解を得るためにはゲノム編集食品の作成方法や戻し交配の実態、安全性確保のための解析がなされていることなどを正しく伝える必要があると考えられる。ハザードの発生頻度や、ゲノム編集を行ったことによる食品成分の変化の有無、交配によって変異がどの程度残るか、遺伝毒性や免疫毒性はどれくらいか、などについて科学論文を調査して情報収集を行っている。また、その根拠となるデータを得るための実験を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「ゲノム編集食品に関する国民の理解を深めるリスクコミュニケーション方法の確立」にむけて、当初の計画通りに1年目の研究を遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に行った調査結果を対象者の属性や知識レベルごとに分析し、ゲノム編集食品に対して抱く懸念点を明らかにする。それぞれの懸念に対してどのような内容及び手法のリスクコミュニケーションを行うとよいかを検討し、その検証を行う。そして、明らかとなった懸念に対し、理解を深めるために必要な情報を集める。科学的根拠に基づく情報発信とその効果の検証を繰り返し行うことで、効果的なリスクコミュニケーション方法の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初令和3度度に必要になると見込んでいた消耗品等を使用する実験や解析を来年度に行うこととしたため、次年度使用額が生じた。来年度にそれらを購入して研究を推進していく計画である。
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