研究課題
橙系果肉サツマイモ品種に含まれると予測されるコガネセンガンとは異なるβ-ダマセノン前駆体物質の単離を試みた.蒸煮サツマイモのエタノール抽出液をヘキサンを用いた液―液抽出により,水層とヘキサン層に分け,水層に含まれるβ-ダマセノン前駆体物質をSEPABEADカラムクロマトグラフィー,ODSカラムクロマトグラフィー,ゲルろ過カラムによる分画を進めた.さらにHPLCを用いたODSカラムクロマトグラフィーにより最終分画を行った.HPLCを用いたカラムクロマトグラフィーにおいて、なかなか精製がうまく進まなかったことから、前駆体が予想とはことなる構造をしていることが考えられた。そこで橙系果肉サツマイモ品種を用いて様々な条件で小仕込み試験を行った。細胞壁分解系の酵素製剤より24種を用いて橙系果肉サツマイモによる芋焼酎の製造を行ったところ、Aspergillus 属由来のペクチナーゼにβ-ダマセノン生成量を増加させる活性が高いことが認められた。また蒸留時のもろみpHが低いほど、蒸留時間が長いほど、焼酎中のβ-ダマセノン量が増加することが確認された。このpHおよび蒸留時間に関する挙動は、これまでに我々が単離しているCompound 1と同じものであった。これらのことからおそらく橙系果肉サツマイモ品種に含まれるβ-ダマセノン前駆体物質もCompound 1と同様の配糖体であることが強く示唆された。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (26件) (うち招待講演 26件)
Biosci. Biotechnol. Biochem.
巻: 87 ページ: 672-682
10.1093/bbb/zbad033
J. Biosci. Bioeng.
巻: 135 ページ: 458-465
10.1016/j.jbiosc.2023.03.010
Journal of Magnetism and Magnetic Materials
巻: 586 ページ: -
10.1016/j.jmmm.2023.171193
Journal of Applied glycoscience
巻: 70 ページ: 109-117
10.5458/jag.jag.JAG-2023_0006