研究課題/領域番号 |
21K02110
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
萩原 真 新潟県立大学, 人間生活学部, 助教 (30546099)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高グルコース / 糖尿病 / MAPK / 炎症 / iNOS / IL-6 |
研究実績の概要 |
日本において糖尿病患者は317万、その予備軍は1千万人にも昇ると言われており、糖尿病は、国が定める重要疾患の一つである。糖尿病は高LDL血症のリスクを高め、心疾患や脳梗塞の原因となり、最悪死に至る。従って、これらの予防法や治療法を確立することは極めて重要である。高LDL血症に対する薬剤としてはスタチン系のもが使用されているが、スタチン系の薬剤は、血糖値を上昇させるため、糖尿病有病者に投与するにはリスクがあることが報告されている(Zigmont et al., Diabetes Metab Res Rev, 2019)。そこで、本研究では、糖尿病における高LDL血症発症の分子メカニズムを解明し、食品成分による改善法を目指す。 今年度は、培養細胞を用いて、高血糖が生体に及ぼす影響について解析した。高グルコースで培養した培養細胞では、低グルコースで培養した培養細胞と比較して、MAPKのリン酸化が促進した。また、同条件下で、炎症性サイトカインIL-6や誘導型一酸化窒素合成酵素であるiNOSの発現が上昇した。そして、高グルコース培養の培養細胞と低グルコース培養との培養細胞で、細胞内部に取り込まれるグルコースについて、蛍光プローブを用いて検討した。その結果、高グルコース培養で、有意に細胞内部へのグルコース取り込み量が上昇していることが明かとなった。これらのことより、高血糖状態では、細胞内部に取り込まれたグルコースが、MAPKシグナルを経由して、炎症が惹起される可能性が示唆された。 現在、これらのメカニズムと高LDL血症発症との関連性を解析するとともに、食品成分による改善法を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症などの影響により、研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要したように、今年度は、培養細胞を用いて、高血糖が生体に及ぼす影響について解析した。その結果、高グルコースで培養した培養細胞では、MAPKのリン酸化が促進しすることや、炎症性サイトカインIL-6や誘導型一酸化窒素合成酵素であるiNOSの発現が上昇することが明かとなった。これらのことが、コレステロール合成経路に影響するのか、それとも未知の仕組みがあるのか検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症による影響で研究に遅れが生じたため。
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