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2021 年度 実施状況報告書

アルブミン、グロブリンの挙動と古米の米飯テクスチャー劣化

研究課題

研究課題/領域番号 21K02117
研究機関福井工業大学

研究代表者

大能 俊久  福井工業大学, 環境情報学部, 准教授 (60390902)

研究分担者 古澤 和也  福井工業大学, 環境情報学部, 准教授 (00510017)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード米飯 / テクスチャー / タンパク質 / アルブミン / グロブリン / 古米 / 低グルテリン米
研究実績の概要

総タンパク質量が多いと米飯テクスチャーが劣化することは食品研究者の間で十分認識されている。しかし、どのタンパク質がどのように米飯テクスチャーに関与するのかについてはほとんど解明されていない。そこで本研究では、古米における米飯テクスチャーの挙動を1つの柱として、米飯テクスチャーにタンパク質がどのように関与するのか、そのメカニズムの解明を試みる。
精米貯蔵した通常米を試料として浸漬時可溶性タンパク質と米飯のバランス度(=粘り/硬さ)の挙動について検討した。精米を水分変化がないようにアルミパウチに密封して40℃で1か月(40-1M)、または2か月(40-2M)貯蔵して古米とし、貯蔵せずに冷凍保存した精米(40-0M)と比較を行った。40-0Mの米飯のバランス度は0.279だったが、貯蔵に伴って0.240(40-1M)、0.227(40-2M)へとバランス度は低下した。浸漬時可溶性タンパク質量をローリー法で測定したところ、貯蔵に伴って減少する傾向を示した。浸漬時可溶性タンパク質の減少はSDS-PAGEによっても確認することができた。これらのことから貯蔵により親水性のタンパク質が疎水性に変化するとともに米飯テクスチャーのバランス度の低下が起こることが明らかとなった。
タンパク質の種類や量と米飯のバランス度との関連についての検討を行った。低グルテリン米春陽、低タンパク質米(タンパク質量0.2%)を試料としてその米飯テクスチャーを調べた。また、量販店で購入したコシヒカリ(タンパク質量5.6%)を通常米として対照とした。40℃で1か月、または2か月貯蔵した場合についても併せて調べた。コシヒカリの米飯のバランス度と春陽のバランス度はともに貯蔵により低下したものの両者の挙動は異なることが明らかになった。また、低タンパク質米ではバランス度の低下が認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は精米貯蔵した古米の浸漬時可溶性タンパク質について検討を行い、貯蔵に伴い浸漬時可溶性タンパク質が減少することをローリー法で確認できた。また、SDS-PAGEでも可溶性タンパク質が減少することを確認できた。また、その試料の米飯テクスチャーを調べたところバランス度が低下していた。以上のように同一試料の可溶性タンパク質の挙動と米飯テクスチャーの挙動を一括して把握することができた。
低グルテリン米春陽、低タンパク質米(タンパク質量0.2%)、コシヒカリ(対照米、タンパク質量5.6%)とそれらを精米貯蔵したものについて米飯テクスチャーを調べた。春陽とコシヒカリは貯蔵により米飯のバランス度が低下したが、両者の挙動は異なっていた。また、低タンパク質米ではバランス度が低下しなかった。
以上のように2つの研究軸(1.古米化におけるタンパク質と米飯テクスチャーの関係、2.タンパク質の種類や量が特殊な米を試料とした場合の米飯テクスチャー)を実施し、結果が得られている。おおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

2021年度は精米貯蔵した米、古米を試料としてタンパク質の挙動や米飯テクスチャーの挙動を把握した。また、タンパク質の種類や量がどのように米飯テクスチャーに関与するのかについても検討を行った。
2022年度はこれまで行った研究を更に進展させ、浸漬時や加熱時のタンパク質の挙動をSDS-PAGEやウエスタンブロッティング等で把握し、どのタンパク質がどのように変化しているのかを明らかにする。この結果と米飯テクスチャーの結果を照合することにより米飯テクスチャーに関与するタンパク質を絞り込んでいきたい。
また、アルブミンやグロブリンの米飯テクスチャーへの関与の有無を添加試験や除去試験によって検討する。更には、古米の研究を進める中で貯蔵によりタンパク質のSH基が減少し、SH基の減少により米飯のバランス度が低下するという可能性が出てきた。そこで、米におけるSH基定量方法を確立し、古米でSH基が減少しているのか、等も明らかにしていきたい。

次年度使用額が生じた理由

テクスチャーアナライザーに関する物品費において、購入予定であった物品が既存の物品で代用できたことによって差額が生じた。また、生化学実験試薬・消耗品関連でも試薬等が既存のもので足りるなどして差額が生じた。次年度の助成金と合わせて研究遂行に必要な消耗品等を購入し、使用していく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 貯蔵による米飯テクスチャーの劣化と可溶性タンパク質、アミノ酸の挙動2022

    • 著者名/発表者名
      大能俊久、寺岡若葉、古澤和也
    • 学会等名
      日本農芸化学会2022年度大会
  • [学会発表] タンパク質に特徴のある米の米飯テクスチャー2022

    • 著者名/発表者名
      大能俊久、古澤和也
    • 学会等名
      日本食品科学工学会第69回大会

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公開日: 2022-12-28  

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