昨年度は、還元剤溶液中での加熱により脱離する固形分が増加することと、グルテリンと思しき32 kDa(酸性サブユニット)のタンパク質と20 kDa(塩基性サブユニット)のタンパク質の脱離が増えることを明らかにした。今年度はグルテリンの抗体を使用してウエスタンブロッティングを行い、本当にグルテリンが脱離しているのかの確認を行った。32 kDaのタンパク質は交差したが、20 kDaのタンパク質は交差せず、その代わりにその近傍の22 kDaのタンパク質が交差した。22 kDaタンパク質の交差については、相同性の高い別のタンパク質が交差している可能性がある。今後、新規にグルテリン抗体を作成してグルテリン塩基性サブユニット(20 kDaタンパク質)の脱離挙動について明らかにしていきたい。 今年度は種々の界面活性剤溶液中でのタンパク質の溶解性についても調べた。陰イオン界面活性剤で米タンパク質の可溶化量が多いものが存在し、それらは硫酸エステル型、スルホン酸エステル型、またはカルボン酸エステル型陰イオン界面活性剤であった。また、界面活性剤の疎水性部分は炭素数が10~12のもので溶出量が増える傾向があった。可溶化したタンパク質をSDS-PAGEで調べたところ、タンパク質の可溶化量が多い界面活性剤の一部は32 kDa、20 kDaのタンパク質も可溶化していた。これらのタンパク質は難溶性のグルテリンと推定される。これらのことから、一部の界面活性剤は難溶性のグルテリンを可溶化すると推測した。特にドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸リチウムで可溶化するタンパク質量が多かった。
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