研究課題/領域番号 |
21K02118
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
門間 敬子 京都女子大学, 家政学部, 教授 (70397561)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / モモ重症アレルゲン / GRP / CRD / モノクローナル抗体 |
研究実績の概要 |
モモ重症アレルゲンであるGibberellin-regulated protein (GRP) は果物・野菜間で保存性が高く、モモ以外の果物・野菜においてもGRPを原因物質としたアレルギーが報告されている。さらに花粉に含まれるGRPとアレルギーとの関係も重要視されている。 snakinとして知られるジャガイモGRPはアレルギー報告がないが、この要因の一つとして加熱調理の影響があるのではないかと考えた。モノクローナル抗体を用いて精製したタンパク質のCDスペクトル解析では、ジャガイモGRPはモモGRP同様に熱安定性が高く、Tm値は90℃以上であり、加熱冷却後も加熱前と同様のスペクトルを示した。しかし、ジャガイモを茹で、電子レンジ加熱により調理すると、GRPの検出量が大きく減少した。GRP量の測定には、抗モモGRPモノクローナル抗体の交差反応性を利用したサンドイッチELISAを用いた。また、ブドウよりGRPを精製し、患者血清との反応を解析したところ、ブドウアレルギー患者の原因抗原がブドウGRPであることが明らかになった。またブドウの品種によるGRP量の違いと患者の反応に対応がみられた。RT-qPCRによる発現解析により、リンゴ、ナシ、ブドウ、ウメのGRP発現の季節変動を測定した。 スギ花粉GRPを精製し、モノクローナル抗体を作製した。さらにサンドイッチELISAによる定量系を構築した。 これらの結果は、果物・野菜重症アレルゲンGRPに対してアレルギーを持つ患者が何をどのくらい食べて良いのかを明らかにすることにつながり、QOLの向上に寄与することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1、モノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISAにより、果物・野菜のGRP量を測定できた。ジャガイモの加熱調理により、検出されるGRP量が減少することがわかった。 2、モノクローナル抗体を用いて果物・野菜からGRPを精製し、患者血清との解析や、タンパク質解析を行なった。 3、RT-qPCRによる発現解析を行ない、季節変動や発現タンパク質を明らかにした。 4、花粉由来GRPのモノクローナル抗体を作製し、特異的な検出系を構築できた。 以上のことから、計画はおおむね順調に進んでいると判断している。ただし、タンパク質解析にはさらに純度の高いタンパク質の精製が必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下に示した実験を行うことによりGRPの抗原性の解析を進めていく。 1、精製したGRPの熱安定性および加熱調理における食材中での安定性に関わる要因を検討する。 2、RT-qPCRにより果物・野菜におけるGRP発現に関わる要因を検討する。 3、花粉GRPの抽出条件を検討し、花粉中のGRP量を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度においては大学に配置された装置および作製していた抗体をできたことから予定よりも使用額が少なくなった。新たに様々な果物・野菜からモノクローナル抗体を用いてGRPを精製し、タンパク質解析を行うための機器の購入を検討している。
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