研究課題
本研究課題は、若年女性を対象に月経前症候群(PMS)に影響を及ぼす食事因子を探索することを目的とし、即時的な月経に伴う愁訴の調査(MDQ)による月経前症状を評価し、栄養素等摂取量、食品群別摂取量、食習慣等との関連を検討するものである。令和4年度は、本研究に参加登録を行った月経を有する健常な女子大学生68名(本学栄養科学部在籍)のうち、辞退者、質問票回答不備者等を除いた46名を対象に、月経前症状と食習慣および生活習慣の関連について検討した。その結果、MDQ合計スコアは月経前が月経後に比べて有意に高く、月経前の愁訴が強いことが示された。月経前症状の強さを示すMDQ増加率(%)=(月経前MDQ合計スコア-月経後MDQ合計スコア)/月経後MDQ合計スコア×100は、n-3系脂肪酸摂取量との間に有意な負の相関関係を認めた。しかし、年齢、BMI、エネルギー、その他の栄養素摂取量、食品群別摂取量との有意な関連は認められなかった。食品別摂取頻度では、葉漬物、大豆製品を週4回以上摂取している者は週4回未満の者に比べて、MDQ増加率が有意に高い値を示した。喫煙歴有りの者、飲酒が適量でない者、朝食欠食者のMDQ増加率はそうでない者に比べて有意に高い値を示した。対象者数の不足により、これらの因子を調整した多変量解析を行えていないため、さらに対象者数を増やして検討する必要がある。そのため、令和5年度も令和4年度と同様に調査を実施している状況である。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、令和3年度末~4年度にかけて十分な対象者数が得られなかったため、令和5年度も引き続き、令和4年度と同様に対象者を募集し、調査を実施することに計画変更した。現在、新たな対象者数79名の参加登録を得て実施している状況である。
本研究の令和4年度の研究実績については、令和5年に開催される第70回日本栄養改善学会学術集会にて研究発表を行う予定である。また、令和5年度実施の調査は年度前半に終了する予定であるため、終了次第、令和4年度の対象者も含め、得られたデータについて再度解析を実施し、研究成果の報告に繋げるよう推進していく。
次年度使用が生じた主な理由は、上述のように新型コロナウイルス感染症拡大の影響により令和4年度は予定よりも対象者数が得られなかったため、対象者への謝金、またデータ入力量減による研究協力者への謝金、自記式食事歴質問票BDHQによる栄養調査費用、および研究に使用する事務用品費等が残っている状況である。そのため、令和5年度の調査実施により、これらの費用として使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Experimental and Therapeutic Medicine
巻: 25 ページ: -
10.3892/etm.2023.11795