甘さを呈する要因となっている香気物質は、エステル類、アルデヒド類、ラクトン類であり、甘い溶液に添加することで甘味を増強し、酸っぱい溶液に添加することで酸味を抑制することが知られている。オルソネーザルとして、甘さを認知した香りとして、バナナ果実香、マンゴー果実香、メロン果実香、桃果実香、イチゴ果実香、チョコレート香、カスタード香、メープルシロップ香の8種類の特徴とそれらの共通点・相違点を解析した。その結果、フレッシュ感やグリーン感を呈する 酢酸ヘキシル、ヘキサン酸エチルやヘキサナールなどの含有量が増えていくと、共存する甘味を付与する他の香気物質の効果を打ち消すようになり、甘味増強を抑制する可能性が示された。また、フレッシュ感やグリーン感を呈する香気成分の含有量が増えていくと、共存する甘味を付与する他の香気物質が持つ酸味の抑制効果を打ち消していくだけでなく、酸味の強く感じさせる効果に変化していく可能性が示された。但し、これは、クエン酸濃度が高くなったような酸味の強さではなく、甘味を感じにくくさせることによって、酸味が気になるようになったのではないかと考えられた。
|