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2022 年度 実施状況報告書

食素材としてのきのこの保存・加工にみられる機能性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K02135
研究機関高崎健康福祉大学

研究代表者

熊倉 慧  高崎健康福祉大学, 農学部, 准教授 (80516930)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードマンネンタケ / シイタケ / 機能性成分 / 保存 / 加工 / 遺伝子
研究実績の概要

本研究目的①である「収穫後の保存及び加工におけるきのこの成分を網羅的に解析する」に関して、マンネンタケを用いて収穫後の保存状態における機能性成分変化を解析した。マンネンタケは硬質きのこであることから保存における機能性成分の研究は少ない。マンネンタケ3菌株を用いて、人工栽培された子実体を、収穫直後、1週間室温保存、1週間4°C保存と比較解析した。陽イオン性成分、有機酸、遊離糖、脂肪酸の分析を試みた。その結果、1週間保存することで複数の遊離アミノ酸の増加が確認された。有機酸、糖、脂肪酸においても、それぞれの状態で特徴的な成分を明らかにした。一方、きのこの加工における成分変化の解析は、シイタケ子実体を用いた浅漬けを製造し、その機能性成分分析を実施した。その結果、無処理区と比較して、分析した機能性成分において、大きな違いは確認されなかった。今後は、処理する塩分濃度を検討するとともに子実体の切り方などを工夫し、再度、実験を行っていく予定である。
もう一つの研究目的②「きのこの生活環及び機能性発現に関与する酵素を分子生物学的手法により解析する」においては、収穫後のマンネンタケ子実体において存在が確認されたタンパク質の遺伝子配列解析を中心として研究を推進した。ソウマチン様タンパク質遺伝子において、昨年までの研究で得られた部分配列情報を元にプライマーを設計し、未取得部に関して、シークエンシングを行い、全長配列を明らかとした。糖質加水分解酵素ファミリー47に属するα-1,2-マンノシダーゼに関しては、複数菌株を用いて菌株間におけるアミノ配列を比較した結果、全ての菌株間で非常に高い相同性を示し、菌株間で保存性が高いことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、研究推進方策の中心である2つの目的に対して、保存による機能性成分の分析を実施したこと、きのこ加工品の製造を実施し、機能性成分の分析を開始していること、遺伝子配列情報解析において、未知配列の取得に成功したことから研究の推進は、おおむね順調に進展しているとした。

今後の研究の推進方策

今後も2つの研究目的を基本として推進する。2023年度は、シイタケの浅漬け加工品の製造を実施する。2022年度では塩分濃度や子実体の切り方などの検討は実施していなかったため、それら条件を検討し、加工処理による付加価値化に注力する予定である。処理条件による陽イオン性成分、有機酸、遊離糖、脂肪酸の違いを解析する。液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行い、特徴的な成分を明らかにする。きのこの漬物に関する研究は少なく、野菜を用いた漬物同様に生活習慣病の予防や免疫賦活効果が期待される。
また、きのこの生活環及び機能性発現に関与する酵素に関して異種発現系の構築を目指す。きのこの酵素遺伝子はその遺伝子により異種発現が困難なことが知られている。2023年度は、初めに大腸菌による異種発現を試みる予定である。これまでにクローニングに成功したプロテアーゼやグルカナーゼを使用する予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由としては、物品購入にあたり、物品の価格を精査し、安価なものまたはキャンペーン中のものの購入に努めたためである。
今後の使用計画については、研究の推進方策に従い、物品費で当該物品を購入し、使用、研究の推進に努める。また、旅費・その他に関しては、成果発表、資料収集、研究打ち合わせ等に使用し、本研究成果を発信し、研究を円滑に遂行する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] マンネンタケ子実体抽出物に含まれる酵素の機能2022

    • 著者名/発表者名
      熊倉慧
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 6 ページ: 922-924

  • [学会発表] マンネンタケにおけるα-マンノシダーゼ遺伝子の解析2022

    • 著者名/発表者名
      熊倉 慧,岡本健吾,小林泰斗,松岡寛樹
    • 学会等名
      日本きのこ学会第25回大会 ポスター展示・交流会

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公開日: 2023-12-25  

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