研究課題/領域番号 |
21K02144
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
佐々木 啓介 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, グループ長 (20343981)
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研究分担者 |
石田 翔太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 研究員 (00885006)
渡邊 源哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 研究員 (00782179)
本山 三知代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (20414683)
中島 郁世 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (60355063)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 食肉 / 呈味成分 / うま味 / 弁別閾 / 評価 |
研究実績の概要 |
本研究は、食肉における「うま味」評価を行うにあたり、うま味成分の弁別閾を求めることで、「うま味成分含有量にどの程度の違いがあれば味の違いがあると見なして良いか」を解明し、評価基準を示すことを最終目的としている。 今年度は、初年度として、食肉のうま味成分の弁別閾を求めるため、グルタミン酸(Glu)の弁別閾についてモデル実験を行った。まず、他の成分が存在しない条件でのGluの弁別閾を調べるため、グルタミン酸ナトリウム(NaGlu)水溶液を試料とした2点法による分析型官能評価を実施した。その結果、NaGluの認知閾値付近においては、分析型パネルはNaGluの濃度の違いを殆ど識別できず、弁別閾を求めることができなかった。続いて、実際の豚肉におけるGluの弁別閾を求める実験を行った。モデルとしては、食感の影響を排し、均一なサンプルで添加試験を実施できるよう、豚肉から抽出した水溶性画分からなるエキスを豚肉と同等の濃度となるよう溶解させたものを用いた。モデルエキスに対し、種々の濃度でGluを添加し、どの程度のGluの濃度差でパネルが識別できるかを解析した。その結果、豚肉モデルエキスにおいては豚肉中で通常あり得るGluの濃度差で弁別されることが明らかとなった。これらの結果から、食肉におけるうま味成分の弁別閾を求めるためには、食肉と同等の呈味成分を含むモデルエキスでの解析が有用であることや、「味」評価のために弁別閾を解明することの有用性が示された。今後、さらに異なるブタ個体由来のサンプルを用いた反復実験を行うことで、詳細な弁別閾を求める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染防止の観点から官能評価の実施やサンプルの分析実施、サンプルの調達に制限が生じ、予定の官能評価が一部実施できなかった。他方、意味のある結果を得ることができ、特にモデルエキスを用いた実験系の妥当性を示すことができたことから、遅れは大きくないものと理解しており、「やや遅れている」との評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きモデルエキス系を用いることで呈味成分の弁別閾を詳細に解析する。特に、異なるブタ個体由来のサンプルを供試することで、弁別閾の個体間差などについても検証を行い、より妥当な弁別閾を示すために必要な条件を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染防止などの観点から予定していた官能評価の一部を実施することができなかったことや、分析用消耗品の価格が想定より安価であったことから、残額が生じた。 次年度は官能評価実施に必要な資材やサンプル、およびサンプルの呈味成分の詳細な分析に使用するとともに、成果を国際学会で発表するための参加費等に充当する。
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