研究課題/領域番号 |
21K02150
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
速水 多佳子 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90578676)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 住教育 / 家庭科 / カリキュラム・マネジメント |
研究実績の概要 |
近年,自然災害が頻発しており,家屋の倒壊や損壊などが全国各地で起こっている。住居は生活の基盤であり,安心して日々の生活を営み,災害に柔軟に対応するためにも住居の維持管理は必要である。住居に関する知識を得る場として,学校教育では家庭科が大きな役割を担っているが,指導の困難さから扱いが低調であると指摘されている。本研究では,学校教育における住教育を捉え直し,カリキュラム・マネジメントの視点を取り入れた住教育プログラムを構築することを目的としている。またコロナ禍において,外出自粛などの影響から家庭で過ごす時間が多くなっている現状から,住居についての学びを捉え直す機会ともなっており,住教育の必要性は高まっている。 本年度は研究初年度であり,主に学校教育における住教育の位置付けを整理することを中心に研究を進めた。収集した文献をもとに,住教育の必要性と実態を把握することから始め,家庭科を軸として,各教科の学習指導要領や教科書,文献,論文から住教育とのかかわりを整理した。その際に,学習指導要領で推進されているカリキュラム・マネジメントの考え方についても考察した。現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の育成のためには,教科等横断的な学習の充実が求められており,住教育を効果的に進めていく方策として,カリキュラム・マネジメントの重要性が確認できた。今後の授業開発の基礎資料となる本年度の研究内容については,次年度に学会で口頭発表を行い,論文としてまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新学習指導要領に基づいた授業は,中学校は令和3年度,高等学校は令和4年度からの実施である。学習指導要領は大きく改訂されており,それに伴って,教科書の内容も大幅に変更されている。そのため,学習指導要領と教科書の分析にかなりの時間を要した。また,初年度に実態調査を行う予定であったが,コロナ禍において,休校や感染症対策によって,授業の年間計画を変更せざるを得ない状況であったため,学校現場での実態調査を先送りにした。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに整理してきた家庭科を軸とした各教科における住教育の内容を,「教科横断的な視点からの住教育の必要性と可能性」としてまとめる。また,コロナ禍のために先送りにした,住居領域の実態把握のためのアンケート調査を実施する予定である。その結果を分析して課題を明らかにし,カリキュラム・マネジメントの視点を取り入れた授業案を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実態調査を先送りにしたため,研究費に残額が生じた。次年度以降の調査費用として使用したい。新型コロナウィルスの感染状況により,研究会への参加や学校現場への訪問が難しくなったため,旅費を使用しなかった。次年度は,感染状況を見て配慮をしながら,研究会等への参加や学校現場での授業見学等に参加し,効果的な授業開発に向けての費用として有効に活用したい。
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