研究課題/領域番号 |
21K02157
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
土肥 麻佐子 文教大学, 教育学部, 教授 (60553542)
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研究分担者 |
分田 貴子 東京大学, 医学部附属病院, 特任専門職員 (80723395)
西村 拓一 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80357722)
宮崎 正己 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (90097262) [辞退]
角田 千枝 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (50712337)
石垣 理子 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (70185875)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 外見ケア / アピアランスケア / 乳がん / 乳房形状 / ブラジャー / QOL |
研究実績の概要 |
乳がん患者の活発な生活を衣生活の側面から支援する被服ケアの構築を最終目標とする。本研究では、被服ケアのツールとして人工知能を活用したスマートミラーを開発するための基礎研究を実施している。当初治療により時間軸で変化する患者の外見を肌の色で定量化し、下着や衣服へのニーズ、衣服の色やデザインによるイメージの変化と着用者の気分(QOL)との関連を調べる計画であった。しかし、コロナ禍により昨年度より現在まで患者との直接的な接触が困難となった。 このため昨年度後半より、コロナ禍にあっても患者のニーズに対応している外見ケアサービスの提供者を対象に検討をすすめることとした。補正下着製造販売企業の協力を得て、コーディネーター4名を対象に、患者に適切な下着やパッドをおすすめするための経験的な知識やノウハウ、現状での課題を問うインタビュー調査を行い、知識の構造化と課題の抽出を試みた。この結果より、患者とコーディネーターが対面で対応しなくても、個人の乳房形状を推定できる仕組みが求められていることがわかった。解決の糸口として、今年度は日本人女性144名の3次元形状(被服構成学部会人体寸法・形状データベース2014-2016)より、乳房部の形状を抽出してモデル化し、その部分形状特性を分析した。ブラジャー選択を容易にするための抽出部分の分類についても検討中である。 また、今後乳がん経験者と対話しながら広く知識を収集して研究を進めるためには、オンラインの活用が必須と考え、今年度「外見ケアLAB」ホームページを開設した(https://www.gaikencare.com/)。HPを通して乳がん経験者との連携を図る予定であり、時間軸に伴う乳がん経験者の下着選択への要望の変容を調べるとともに、製造者と協力して乳房形状についてブラジャーの生産現場で使用できる形で解析をすすめる計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度よりコロナ禍の影響で患者との直接の接触ができない状況が継続し次年度も目処がたたない。このため今年度より研究計画を一部変更し、1.外見ケアサービスの提供者を支援するための検討として日本人女性の乳房形状を解析すること、2.HPを開設することにより乳がん経験者と対話しながら広く知識を収集することを計画していた。1については一定の成果があったが、さらなる検討課題がある。2についてはホームページの開設に至ったが、乳がん経験者との対話について次年度に持ち越した。このためやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
患者との直接的な接触を要する検討については次年度についても目処がたたないため方向を変えることとし、現在すすめている外見ケアサービスの提供者を支援する目的で行っている乳房形状の解析と、今年度開設した「外見ケアLAB」のホームページを活用し、乳がん経験者と対話しながらその広く知識を収集することを主軸として研究を推進する予定である。乳房解析については、乳がん経験者の持つ知識、下着の製造販売業者がもつ知識を構造化し、具体的なブラジャー設計に役立つ観点より解析をすすめることを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費としてコロナの収束状況を見極めた上で最終年度に肌色計測のための測色計の購入する予定で予算を繰越していたが、次年度(最終年度)も患者の皮膚に接触した計測を実施する目処がたたないために購入を見送ることとした。また同様の理由で患者へのインタビュー調査などもできなかったため次年度使用額が生じた。 現在外見ケアサービスの提供者を支援し、乳がん術後患者のブラジャー選択を容易にするため日本人女性144名を対象とした乳房部の3次元形状の形態特性把握と分類の研究が進行している。さらに詳細な解析のためのプログラム作成に要する人件費、乳房部の実物大3Dモデル模型の作成費用として未使用額を使用する計画である。
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