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2022 年度 実施状況報告書

リアルアピアランス画像を使用した景観構成要素の見えの変化及び印象変化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K02159
研究機関実践女子大学

研究代表者

槇 究  実践女子大学, 生活科学部, 教授 (10276454)

研究分担者 山本 早里  筑波大学, 芸術系, 教授 (90300029)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード街路景観 / 光環境 / 印象 / リアルアピアランス画像 / 見え
研究実績の概要

同一の物体色であっても、表面特性や光環境によって見えが変化し、それに伴って、人が感取する印象も変化すると考えられる。本研究は、その情報が設計者等に提供されていないことに着目し、表色系では表現できない物体のテクスチャーや光沢などの特性が、季節・天候・時間帯などに伴う光環境の変化により、どのように見えを変化させ、印象を変化させるかを、リアルアピアランス画像を用いた印象評価実験等の手段を用いて探ることを目的としている。
2022年度は、2021年度に実施することができなかった現場での印象評価とリアルアピアランス画像の印象評価を比較する実験を実施した。計3日の現場実験で評価させたデータと、評価時に撮影した画像から作成した99枚のリアルアピアランス画像の印象評価データを用いて、シーンごとに16尺度の差分を計算した。そのデータを基にしたクラスター分析を実施し、主に抽出された4つの尺度群ごとに差分の傾向を把握した。その結果、金属の壁面反射、壁面の反射の強弱、明暗のコントラスト、輝き、空の映り込みなどがクラスターを分離する要因であると解釈され、リアルアピアランス画像における評価から実際の評価を推測する為の評価の増減の傾向が把握された。
なお、物体表面の性状を表現する「明るい」「固い」「光沢のある」等の尺度より、そこから受ける印象を表現した「好き嫌い」「派手さ」「落ち着き」「美しさ」といった尺度の方が差分の絶対値が小さい傾向が見られた。後者のようなより高次の印象は、画像に表れる光環境に起因した現実との違いの影響を受けづらいと推測される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現場での印象評価とリアルアピアランス画像の印象評価を比較する実験の実施により、印象評価の差異の傾向を把握することができた。また、その過程で、光環境による建物の見えの変化が印象評価に及ぼす影響について、一定の知見が得られている。
また、一部の印象については、リアルアピアランス画像で把握することの限界も明確になりつつあり、リアルアピアランス画像を使用した実験室実験だけでは現場での評価との違いを把握できるとは言えないことも明らかになってきている。
一方で、看板に関する調査・実験の実施が未了で、遅れが出ている。
このように、順調に進捗している所はあるが、実施に遅れが出ている部分もあるため、「(3)やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

2023年度は、以下の3点について研究を推進していく。
(1)リアルアピアランス画像と現場の建物印象の違いを表現する変数の探索:2022年度に採集したデータに基づいて、印象の差異が生ずる特徴を表現する変数を探索する。
(2)夜間街路におけるリアルアピアランス画像の有効性検討:夜間の街路景観を対象に、リアルアピアランス画像と現場の印象の違いを明らかにする為の評価実験を実施する。そこでは、街路景観全体を対象とした評価と看板に着目した評価を実施する。
(3)看板を含んだ街路景観の見えと印象変化の把握:看板のリアルアピアランス画像と街路景観画像を組み合わせたシミュレーション画像を作成する。それらを評価することにより、看板と街路の組み合わせの印象を探る。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響などもあり、2021・22年度に実施予定であったつくば市での計測調査を実施しなかった為、旅費および人件費謝金の使用が生じなかった。また、その為に画像処理ソフトウェアを使用した解析も実施しなかったことにより、次年度利用が生じた。
これらの費用は、「8.今後の研究の推進方策」に記載した「(2)夜間街路におけるリアルアピアランス画像の有効制検討」「(3)看板を含んだ街路景観の見えと印象変化の把握」を実施する為の費用に充当する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] リアルアピアランス画像と現場の建物印象比較2023

    • 著者名/発表者名
      槙 究、山本早里、中村芳樹
    • 学会等名
      日本建築学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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