研究課題/領域番号 |
21K02164
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
谷 雅泰 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (80261717)
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研究分担者 |
高橋 純一 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (10723538)
青木 真理 福島大学, 人間発達文化学類附属学校臨床支援センター, 教授 (50263877)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 福祉型専攻科 / 障害青年 |
研究実績の概要 |
初年度である2022年度は、いくつかの障害青年のための福祉型専攻科の調査を行った。まず、福島県郡山市にある「カレッジ郡山」については、年度当初に理事長と連絡を取り、同校の今後の方向性について聞き取り調査を行った。「学校」的性格よりも就業保障としての性格に重きを置く方向にシフトしつつあること、逆に言えば「青年期」あるいは就学期間に限るのではなく、生涯をその人らしく生きることを保障しようとするものであることを確認した。次に、新しくふたつの教育機関と連絡を取った。ひとつは福島県福島市で2022年度の発足を目指す「ふくかんネット」による教育機関で、創立の準備に当たる理事長および関係者にインタビューを行い、施設を見学した。また、新入生の受け入れ半年前の10月に行われた希望者及び保護者対象の説明会にも参加した。次に、北九州を起点に現在、首都圏で拡大中の「ゆたかカレッジ」については、オンラインで行われた福島県手をつなぐ親の会主催の講演会をオンラインで視聴し、2月に高田馬場カレッジを見学するアポイントメントを取っていたが、残念ながら2月の現地調査はコロナ禍の拡大により延期とせざるを得なかった。2022年度の早い時期に実施する予定である。なお、これらのことについては、福島県手をつなぐ親の会の会長と連携して進めていて、当事者に近い目線で検討していることが特徴である。 コロナ禍により調査活動は制限があったが、文献による調査を進め、「知的障害者に対する青年期教育の多様性」を『福島大学人間発達文化学類附属学校臨床センター紀要』第5号(2022年2月)に発表した。福祉型専攻科は職業教育(高等部本科)と生活教育(福祉型専攻)の間に教育課程の接続に関する段階性の問題が存在すること、福祉型専攻科には実際生活に即した生活教育の学び直しという独自の存在意義があることなどを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
福祉型専攻科にあたる2カ所の施設と連絡を取り、文献・オンラインなどによる調査を行った。福島市内にある施設については、まだ準備段階であるが、2回の現地調査を行い、当事者に対するインタビュー調査を行った。本年はそれらの施設について、当事者のインタビューを含め実地調査を行う予定であったが、コロナ禍のため、自粛せざるを得なかった。障害のある方々と接触することになるため、こちらが病気を持ち込むことになることは避ける必要があったためである。また、コロナ禍で海外渡航は見合わせざるを得なかったので、海外調査を予定していたが、これについては実施できなかった。 国内調査については延期、としていて、2022年度のできるだけ早いうちに実施したいと考えている。また、海外調査についても、状況がやや好転し、所属大学も科研費による調査を認める方向性なので、今年度には実施したいと考えている。それらのことから、延期とはなっているが、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍で延期となっていた、「ゆたかカレッジ」(東京)への訪問調査、「カレッジ郡山」での継続的な観察、および海外の類似施設への訪問調査については、状況の変化に応じてできるだけ早く対応する。 本研究課題の提出時には把握していなかった情報であるが、福島市内においても福祉型専攻科が2カ所で発足を予定している。1カ所についてはすでに昨年度2度にわたって訪問調査しているので、今年度、観察を行いたい。また、もう1カ所についてはまだ連絡を取れていないので、今年度、連絡を取ったうえで訪問する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、現地への訪問調査に制限が生じ、福島市内での調査とオンラインによる調査以外は実施できなかった。その分は文献調査などに依ることとし、物品費として支出したが、昨年度予定していて延期したいくつかの訪問調査については今年度実施することとしたので、「次年度使用額」とした。
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