• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

学校における企業の教育活動と公共の利益に関する国際比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K02165
研究機関東京学芸大学

研究代表者

上杉 嘉見  東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 准教授 (10451981)

研究分担者 天野 恵美子  関東学院大学, 経営学部, 准教授 (20375215)
小島 優生  獨協大学, 国際教養学部, 教授 (40433651)
中田 有紀  東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (30553771)
両角 達平  静岡県立大学, 国際関係学研究科, 客員共同研究員 (10831703)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード公教育 / 公共の利益 / コマーシャリズム / マーケティング
研究実績の概要

初年度は,研究の対象国である,日本,韓国,インドネシア,アメリカ,カナダ,スウェーデンにおける企業の教育活動に関する文献および日本国内からアクセス可能な事例の収集と分析を行った。明らかになったのは以下の通りである。
まず北米のアメリカとカナダでは,20世紀初頭から企業が学校に自社ブランドを取り上げた教材を無償提供するかたちで教育に関与してきた。その後,企業の関与の形態は,校内での広告の掲示や自動販売機の独占設置・販売契約に代表されるような利益直結型へと拡大したが,この展開には教育学や消費者運動の領域で批判が相次いだ。近年は,教育のデジタル化に用いられるプラットフォーム事業者との契約を通した児童生徒に対する直接的な商業宣伝と,マーケティング目的のデータの収集が懸念の対象になっている。
北米では企業がマーケティングの意図をもって学校に関わっているが,韓国とインドネシアでは,企業の教育活動はCSRの一環であることが強調される傾向にある。具体的には,低所得世帯に育った生徒への金銭的な支援や,職業教育領域での高校とのパートナーシップ事業が展開されている。
日本での事例は,児童生徒への直接的な宣伝と,企業の社員による出前授業が中心であり,上記の北米と韓国・インドネシアの特徴の両方を併せ持つ。
以上の国4カ国では教育予算の不足を補うために企業のリソース活用が政策的に推進されてきた面がある。しかしスウェーデンの学校は予算上の困難を抱えておらず,少なくとも北米のような学校コマーシャリズムは見られない。しかし,いわゆる競争原理に基づく新自由主義的な教育政策をとる点で他の諸国と大きな違いはなく,企業との関係強化が進められる条件は一定程度整っている。マクロに捉えれば,各国は似た状況にあると言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナ感染症の影響で,初年度中に予定していた国内の企業の教育活動を対象とした訪問調査はかなわなかった。他方,国内外の関連文献および資料の収集・分析は,おおむね順調に進めることができた。

今後の研究の推進方策

次年度は,国内での学校や教育行政機関への訪問調査を重点的に行う。また,初年度に取り組んだ文献・資料の分析結果を関係する学会で発表する予定である。
海外での調査は,可能な限り実施する予定だが,所属大学の出張の制限等により困難と判断された場合は,最終年度に渡航費用を繰り越さざるをえない。その間は,インターネットを活用して補いつつ,最終年度の調査に備え,文献・資料の収集と分析を引き続き行っていきたい。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用が生じた理由は,新型コロナ感染症拡大による諸々の制約により,国内の教育行政機関や学校等への訪問調査,(対面開催による)関連学会や大学図書館等での文献・資料・情報の収集がかなわなかったことによる。また,一時期,海外調査の部分的な前倒しも検討したが,所属大学での外国出張の制限が続き,実施できなかった。
このような調査の障壁は,社会経済活動の平常化にともない,次年度中には取り除かれることが予想される。繰越額は,特に初年度に実現できなかった国内での調査研究に必要な旅費に充てることにしたい。

備考

研究成果として,東京学芸大学次世代教育研究センター編『学校と外部機関の連携と教育の公共性に関する研究プロジェクト報告書』(東京学芸大学次世代教育研究センター,2022年3月)を刊行し,東京学芸大学機関リポジトリ(http://hdl.handle.net/2309/00173784)で公開した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] カナダの消費者教育における広告分析学習 ―メディア・リテラシー教育の見過ごされたルーツとその可能性―2022

    • 著者名/発表者名
      上杉嘉見
    • 雑誌名

      教育学研究

      巻: 89(2) ページ: -

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi