・日本の「学校から仕事への移行」に注目した1930~50年代にかけての学校(特に実践)と社会に関する基本資料について、これまで収集した関連資料も含めて整理・検討し該当する時期を全体の中で位置づける作業を行った。これにともなってこれまで収集した資料や情報の再整理も含めた包括的な作業を実施した。その一環として、クレス出版より、この時期の「学校から仕事への移行」を支えた母体ともいえる日本の学校の制度的基盤や性格を押さえる基本資料を掲載した資料集第2期を監修/編集(解説)者として刊行した。学校と社会との関係の実態や「学校から仕事への移行」という課題がその中にどのように埋め込まれていたかを検討するものである。1950年代の教育とケアをめぐる諸問題の制度的な背景ならびに教育実践の諸相を検討する資料集ともなっている。 ・戦後の教育実践を代表する無着成恭氏の歩みを押さえながら1950年代の教育実践の位置づけを行った。 ・中央教育審議会初等中等教育分科会において、本研究を踏まえた日本の義務教育(制度)のシステムの特徴について報告を行った。 ・コミュニティの視点を加え教育実践の基盤を検討し、人口動態も含めて、教育実践に与える地域の影響を歴史的に検討した。地域社会がどのような課題を持つかで学校と社会相互の意味と位置づけが変わっていく実相を捉えるべく、時期区分論も意識した基礎作業でもあった。1990年代以降に顕著になっている人類史的ともいえる社会変動の顕在化が教育に与える影響を1930年代の社会と教育の課題との対比でおさえることで、社会変動の類型論を踏まえた教育史の時期区分論をつくるための作業の一環でもある。この作業はケアと教育の関係論も視野に入れたものであり、研究成果の一部を含めて飯田市歴史研究所の研究集会で講演という形で報告を行った。
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