研究課題/領域番号 |
21K02170
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤川 信夫 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (10212185)
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研究分担者 |
丸橋 静香 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (10325037)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 道徳授業 / 身体表現 / 自分ごと化 / ベイズ法 |
研究実績の概要 |
本研究では、すでに2022年度に、調査で得られた数値データに対して、帰無仮説を設定し有意性の有無を明らかにする一般的な統計分析(ブルンナー・ムンツェッル検定)を行った。その結果、①道徳科の授業における「自分ごと化」を促す発問の後で、児童の身体表現(指標)の出現/観察頻度は有意に上昇したか、②ベテラン教師による授業実践(ある種の校内研修)は、若手教師による授業実践に模範として機能したと言えるか、③エスノメトリー法による分析結果は、教師による授業の自己評価を支持しうるかという3つの調査課題について肯定的な結果をえることができた。 2023年度には、同じデータに対してベイズ法を適用し、教師からの「自分ごと化」を促す発問の前後で児童集団に生じた身体表現の変化を、より詳細に分析した。具体的には、今回の分析では、①教師の影響(若手/ベテラン)、②発問の影響(発問前/後)、③観察者の影響(通常精度/高精度)という3つの要因を設定した。また、児童集団を、授業に関心がある群(I群)と関心がない群(D群)に分けて分析を行った。 その結果、それぞれの要因について以下の点が明らかになった。要因①:ベテランの授業は若手の授業に比べてI群に属する児童が多く、かつ、I群の身体表現の頻度も高い。要因②:発問はもともと授業に興味のないD群の集中を促すわけではなく、さらにI群の身体表現の頻度を上昇させるわけでもない。要因③:高精度の分析では、通常精度では発問に反応していないと判断された児童の反応を捉えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに2022年度には、本研究の中核部分であるブルンナー・ムンツェル検定による分析結果を教育哲学会第65回大会のシンポジウム(研究討議)において発表し、2023年度には同シンポジウムの報告論文を同学会の『教育哲学研究』第127号に掲載した。さらに2023年度には、同学会の英文ジャーナルE-Journal of Philosophy of Education: International Yearbook of the Philosophy of Education Society of Japanの第8巻にて公表した。 なお、当初の研究計画では、授業後に児童が作成した「ふりかえりノート」に対するテキストマイニングを予定していたが、新型コロナ感染拡大等に関連し計画遂行が困難となったた。そこで、上記の研究で用いた同一のデータに対して新たにベイズ法を適用し、より精緻なデータ分析を行うこととした。2023年度中には、調査で得られた全データについてベイズ法によるデータ分析を終えることができており、ほぼ計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、新型コロナ感染拡大等に係る延長申請により最終年度が2024年度となる。2024年度には、ブルンナー・ムンツェル検定とベイズ法による統計分析の結果を総合し、報告書を作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染予防のため、当初予定していた現地(島根県の小学校)の訪問を取りやめたため、児童のデータ(授業後の振り返りノート)が得られなくなり、これに代えて、動画撮影によって得られたデータに対する統計分析を立体化すべく、ベイズ統計によるデータ分析を行うことになった。そのため補助事業期間延長承認申請を行った。
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