研究課題/領域番号 |
21K02182
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研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
丸岡 稔典 四天王寺大学, 人文社会学部, 准教授 (20455380)
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研究分担者 |
松下 奈美子 鈴鹿大学, 国際地域学部, 教授 (00743642)
水谷 明弘 鈴鹿大学, こども教育学部, 教授 (00884537) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 潜在的態度 / 介護等体験 / 社会福祉施設 |
研究実績の概要 |
A大学の介護等体験参加学生10名の学生を対象とし、FUMIEテストを実施し障害者の潜在的態度の変化を測定した。また、聞き取り調査により介護等体験による障害者への態度変化を尋ねた。結果、介護等体験前後での障害者に対する潜在的態度に変化はみられなかったが、事前の潜在的態度が否定的な場合や援助経験やボランティア経験がない場合に、潜在的態度が肯定的に変化していた。また、聞き取り調査の結果から、「障害者も普通の人と変わらない」とする障害者への態度が生成していることが示された。次に、B、C、D大学の介護等体験参加学生42名を対象としてFUMIEテストを実施し、体験前後の障害者に対する潜在的態度を測定した。結果、体験前の潜在的態度が中立または否定的な学生は体験後に潜在的態度が肯定的に変化していたが、体験前の潜在的態度が肯定的な学生は体験後に変化はみられなかった。これらの結果から、介護等体験は当初の障害者に対する潜在的態度が中立もしくは否定的な学生に対して、否定的な態度を低減させると効果があることが示唆された。 続いて、大阪府内で介護等体験の受け入れをおこなっている施設へ質問紙調査を実施した。結果、211施設から回答があった(回収率 54.8%)。調査の結果、介護等体験の受け入れにメリットがないと回答していた施設は0.5%、デメリットがないと感じている施設は24.6%であり、介護等体験が受け入れ施設に肯定的に受け止められていることが示された。メリットの内容では「利用者が刺激を受けること」や「福祉の施設の理解につながること」が挙げられたが、施設の種類ごとに違いがあり、高齢者関係施設と比べて知的障害者関係施設では「利用者の社会経験になること」や「業務の見直しにつながること」を挙げる割合が高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、介護等体験の受け入れ施設への調査の実施が2023年度まで後ろ倒しとなり、研究期間を延長することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)介護等体験参加学生を対象として実施した聞き取り調査の結果を分析し、介護等体験参加学生の介護等体験による障害者や高齢者のイメージの変化などを明らかにする。 (2)介護等体験受け入れ社会福祉施設への質問紙調査の結果を分析し、1)施設側が期待する学習効果と行政や大学側が期待する学習効果のずれ、2)高齢者関係施設と知的障害者関係施設での介護等体験の内容や利用者・職員に与える影響の違い、を考察する。 (3)介護等体験実施大学の担当教職員への聞き取り調査を分析し、大学側の介護等体験の実施体制を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により介護等体験の受け入れ社会福祉施設への調査が2023年度まで延期となり、研究計画全体に遅れが生じた。一部学会がオンライン開催となり旅費等が不要となったため、延長した研究機関の必要経費に使用することが可能となった。 助成金は研究成果の国際学会での公表などに充てる予定である。
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