研究課題/領域番号 |
21K02185
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研究機関 | 松山東雲女子大学 |
研究代表者 |
安田 孝 松山東雲女子大学, 人文科学部, 講師 (30409677)
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研究分担者 |
大内 善広 城西国際大学, 福祉総合学部, 准教授 (00454009)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 学び直し / 高等教育 / 社会人 / 成人学習 / オンライン / 計量テキスト分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,遠隔授業による社会人の学び直しにおいて,特に心理的側面から開始と継続を促進・阻害する要因を明らかにし,学び直し開始と継続を円滑にするチュートリアル教材作成と公開を行う事であった。研究は大きく4つの段階からなり,第1段階はインタビュー調査によるオンライン学び直しに関する要因の調査を行うことであった。第2段階としてインタビュー調査に基づくオンライン学び直し尺度の開発を行い,さらに第3段階として尺度の検証ならびに結果の分析を経て,第4段階でここまでの調査を踏まえた基づいた社会人のオンライン学び直し促進を目的としたチュートリアル教材の開発を行う計画である。 研究初年度は,学び直しを行った経験を持たない社会人を対象としたインタビュー調査を行う予定であった。しかし,新型コロナ感染症の流行に伴いインタビューの実施が困難となったため,Web調査会社を通じた自由記述アンケートへと研究方法の修正を行い,これを実施した。具体的には,(1)学び直しを過去行ったことがあるかどうか,(2)学び直しを行うことに関心があるかどうか,(3)対面形式とオンライン形式,それぞれで高等教育機関における学び直しを行う場合の利点と欠点に対する認知,を質問した。 調査の結果,20代~60代までの社会人4,775名から回答を得た。回答結果からは,年代を問わず学び直しに関心を持つ割合は30%前後で一定していることが示された。また自由記述に対して計量テキスト分析を行った結果からは,学び直しにおいて高等教育機関を選択する場合,実際に経験があるものは対人的な交流に対する期待や具体的・専門的な学習内容が記述内容に含まれる一方,経験がなく将来の学び直しを希望している段階の場合,記述内容が抽象的であり,学び直しを行おうとする際の障壁の一つに,具体的なプロセスが想像し難いことが考えられ,この解消が学び直し促進につながる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度である2021年度は,学び直しを行った経験を持たない社会人を対象とした対面形式のインタビュー調査を行う予定であった。しかし,新型コロナ感染症の流行に伴い対面形式のインタビュー実施が困難となったため,Web調査会社を通じた自由記述アンケートへと研究方法の修正を行った。研究計画の変更にともない,当初予定していた形態でのデータ収集ならびに分析を実施することが叶わなかった。 しかし計画修正後は,社会人の学び直しに対する認知を検討するために必要十分な自由記述データを収集することができた。また当初は学び直しへの興味・関心があるものの実施に至っていない人物のみへの調査を想定していたが,方式を変更した結果,全年齢における学び直しへの関心割合などが明らかになり,研究目的に対し補助的なデータも収集することができた。 ただし調査実施時期が遅れたため,データの分析が年度内に完了せず,したがって発表まで至らなかった。この分析を元に次のステップを実施するため,早急に作業を行う必要がある。 これらの内容を総合的に評価すると,「やや遅れている」となると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の計画は,遠隔授業による社会人の学び直しにおいて,4つの段階を想定している。そのうち第1段階のインタビュー調査によるオンライン学び直しに関する要因の解明は,初年度内に終了する予定であったが,【現在までの進捗状況】で述べたようにやや遅れている。ただしデータ収集は完了したため,この分析を進めてゆく。分析は基本集計と,自由記述に対する計量テキスト分析の2つの手法を適宜組み合わせていく予定である。この成果は2022年度中盤の学会にて発表を行う。 また,分析が完了次第,2022年度に実施を計画していた第2段階のオンライン学び直し尺度の開発へと作業を進める。関連する文献のリサーチを行うとともに,評定項目の選定作業を自由記述データの分析結果をもとに実施する。以上の結果をもとに,2022年度後半は尺度項目を抽出するためのアンケート調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響で研究方法を一部修正したため,当初予定していた資料収集を中心とした使途に変更が生じ,次年度使用額が生じた。 今後の使用計画として,新たな研究方法のための資料収集に充てる他,一部は2021年度に収集したデータを分析し,国内学会発表を行う際の費用として使用する予定である。
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