研究課題/領域番号 |
21K02188
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
桐村 豪文 弘前大学, 教育学部, 准教授 (00637613)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エビデンスに基づく政策と実践 / EBP / ポスト実証主義 / ランダム化比較試験 |
研究実績の概要 |
本研究は、昨今教育界においても広く肯定的に受け止められているエビデンスに基づく政策と実践(EBP)の考えとそれに基づく運動について、「では、どのようなEBPの在り方が望ましいのか」というシンプルな問いを核としながら、批判的かつ建設的に検討するものである。 この問いに取り組むために、本研究では、次の4つのことをタスクとしている。(1)【理論の構築】EBPのアプローチは、現在広く喧伝されるもの以外にも様々ありうることを、米国や英国における議論をもとに理論的に提示すること、(2)【メタ理論の構築】どの政策、実践を実際に採用すべきかの判断基準を提供するEBPのアプローチについて、しかしそのアプローチも様々ありうる中でどれがより「望ましい」かを判断するためのメタ理論を「社会の進化」の観点から設計すること、(3)【現実を踏まえた理論の拡張】現実の政策決定過程等の場面におけるエビデンスの活用の様子を考慮するとき、EBPに関する理論を修正する必要性に迫られることが予想されるため、EBPのアプローチを、行政学や政治哲学等の隣接する領域の知見を包含するものに拡張し、精緻化すること、(4)【望ましいEBPにおける各種アクターの役割の明確化】望ましいEBPのアプローチを社会的に促進していくうえで求められる国や地方公共団体、その他民間団体等の役割がどのようなものであるかを、現実のエビデンスの活用の様子の観察を踏まえながら明らかにすること。 本年度は、これら4つのタスクのうち(1)について取り組み、EBPの推進をめぐっては右から左まで連続体の中で様々な立場があり、その中で「賢明な中間点」としてポスト実証主義という立場があることを提示した。この知見は、(2)以降のタスクの土台となるものであり、EBPのアプローチについて、学術的かつ実践的にも視野を広げる重要な役割を果たすものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたタスク(1)についてはおおむね取り組むことができた。ただし、その研究成果を論文として公表することができたのは1本のみであり、現在投稿中の論文についても、引き続き取り組む必要がある。 また、論文として研究成果を公表する以外にも、HPを通してEBPに関する研究の知見を広く公表することを研究計画に盛り込んでいた。これについてはまだ着手できていないため、令和4年度に着手すべき課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度では、まずタスク(1)に関して投稿中の論文についての対応を十全に行い、その成果を広く公表する努力を行う。そしてタスク(2)~(4)について、学会発表、論文の投稿をトータルで6本以上行いたい。その他、EBPに関する研究の知見を広く公表するため、HPでの情報の発信の取り組みを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
残金2円に相当する物品の購入ができなかったためです。令和4年度に、この2円を含めて執行します。
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