研究課題/領域番号 |
21K02195
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
下村 智子 三重大学, 高等教育デザイン・推進機構, 准教授 (80557984)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | カナダ / 教育課程 / 先住民族 |
研究実績の概要 |
本年度は、2008年に組織された「真実と和解委員会(Truth and Reconciliation Commission)」が2015年に公表した報告書に示された行動計画に基づき、先住民族の民族知に関する教育の動向について、オンタリオ州の公費運営学校の現状について文献調査をもとに明らかにした。 オンタリオ州では、報告書の公表以降、先住民族に関する教育について、先住民と非先住の間の格差を学習到達度と先住民の歴史や文化や考え方などに関する知識の有無という主に二つの観点から教育改革が進められている。2014年にオンタリオ州教育省は先住民族の教育政策枠組み発表し、中等教育修了率の向上、先住民族の教職員数の向上、先住民子弟の教育に対する保護者の参加の促進、民族知に関する教育の促進に取り組み、その成果を上げてきた。具体的には例えば、教育課程における民族知の統合や教員研修や教員養成の促進などが挙げらえる。 真実と和解委員会が行動計画において求めている教室における民族知や先住民の教育方法の統合にあたり、People of Education (2016) は、先住民族の価値や考え方(perspectives)を教育制度全体に統合するという「真の教育の先住民化(true indigenizing of education)」の推進を課題として指摘している。これに関する現状と、推進における先住民の世界観や資質能力の位置付けについて明らかにすることを来年度の課題とする計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度は、現地調査を実施するにあたり、先方との日程調整及び十分な調査日の確保が難しく、現地調査を見合わせることとなったため、計画よりも遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
文献調査をもとに本年度までの間に明らかになった内容について、現地調査を実施する予定である。特に、オンタリオ州における先住民の民族知の継承に関する教育について、教育省、教育委員会および学校において聞き取りを行うことにより、現状と課題を明らかにしたいと考えている。また、現在文献調査を進めている他州についても、引き続き情報収集を通して明らかにすることを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の使用額が生じた理由は、本年度は現地調査が実施できなかったことにある。次年度は、現地調査および成果発表のために使用する計画である。
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