研究課題/領域番号 |
21K02196
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
大野 裕己 滋賀大学, 教育学系, 教授 (60335403)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学校危機 / 学校の危機管理 / 学校組織改革 / 学校経営理論 |
研究実績の概要 |
本研究は、VUCAレベル増大の環境下における新たな学校経営の思考枠組み及び各学校の経営実践に有効に機能する官民の支援ネットワークのあり方の解明を目的としている。 本研究課題の二年目となる2022年度は、初年度の研究作業を発展させて、学校安全・危機管理に焦点を当てて、環境変動下での学校経営・学校組織の態様に関わる政策的動向及び研究的知見・理論の生成状況について、包括的な文献・資料調査のもと考察した。結果、政策面では、1990年代以降学校の危機事象の発生と関わって、学校における危機管理の内実が形成されるとともにその推進施策が複線的に展開(組織運営・教職員の資質能力)していること。研究面では、2000年代より学校心理・学校経営分野を中心に、学校の危機管理の内容に関わる研究が活性化するとともに、コロナ禍を前後して、学校の危機管理実践に潜在する可能性的側面やこれを踏まえた新たな学校組織・運営の枠組み構築にかかる研究的提案が進んでいること(高信頼性組織論・組織レジリエンスの概念やOODAループ言説等の摂取)を確認した。他方、教職員の資質能力の検討については政策・研究面の双方で未だ熟していない点を、本研究で着目する支援ネットワークと関連する課題として確認した。以上の考察結果については、全国学会の学会誌において発表した。 加えて2022年度においては、感染症対策で国内・外国調査に依然制約があったものの、アメリカにおける近年の学校経営・改善論や支援ネットワークにかかる文献・資料収集を行うとともに、国内調査に向けた準備(新たな機軸の学校経営実践に関する資料収集や取材)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画のうち、理論研究については当初予定に即した水準で実施できたものの、新型コロナウイルス感染症対策が以前要請される状況下で、国内・海外調査については制約があり、限定された対象への予備的取材・調査を行うに留まり、それ以降の研究プロセスは延期せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
過年度の新型コロナウイルス感染症対応による制約を踏まえて、国内・外国調査について可能な範囲での実施時期の変更を再計画する。2023年度は感染症対策の枠組みが変化することから、アメリカの学校経営理論・支援ネットワークの文献調査・事例調査にまず注力したい。加えて、国内調査研究についても、現下の学校の業務負担状況にも配慮しながら、当初計画の修正も視野に入れて調査の準備・実施に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内・外国調査について、新型コロナウイルス感染症の流行及び対策状況により、研究プロセスを延期したため。
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