研究課題/領域番号 |
21K02201
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
坪井 由実 愛知県立大学, 教育福祉学部, 名誉教授 (50115664)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 学校改善プログラム / 生徒参加 / 保護者・住民の参加 / 教職員の参加 |
研究実績の概要 |
保護者・住民の教育統治能力を高めていくしくみを組み込んだ、市民や主権者を育てていく「学校づくり/学校改善プログラム」の開発について、愛知黎明高校の実践に注目し、面接調査や観察調査を実施した。同校では、2000年より、生徒、保護者、地域住民、教職員の四者による「学校づくりフォーラム」が、毎年2~8回開催されている。この学校づくりフォーラムの特徴は、「父母や地域に開かれた民主的な学校評価を行う目的で学校長の発案により発足し、その後生徒の主体的な参画により新しいカリキュラムづくりとその推進を担い、今日に至っている。同校には、「教職員の倫理綱領」(2011年制定)があり、「職場憲法」と位置付けられている。倫理綱領は、「生徒の尊厳と最善の利益」を第一に掲げ、「意見表明権、参加権の尊重」(第9項)、「父母及び地域との提携、協働」(第17項)を謳っている。「子どもの権利条約」を活かした職場憲法が、学校づくりフォーラムの土台になっていることを解明できた。 このような学校づくり、ないしは学校管理運営への参加のしくみを、教育委員会制度に組み込んでいく必要がある。小学校区単位でも、中学校区単位でも、さらには自治体レベルにおいても、当事者による対話の公共空間を保障していくことが大切であり、自治体レベルでは、学校ごとの代表で、自治体の教育審議会などをつくり、自治体規模の対話の場を確保していく学校改善プログラム開発の意義を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で中断していた各学校における三者(児童・生徒、保護者、教職員)による対話の取り組みは、2023年度あたりからようやく再開されはじめているのが現状である。例えば、この科研でも一貫して注目してきた鳥取県南部町においても、2023年度に三者、四者による学校づくり会議が再開されている。
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今後の研究の推進方策 |
対話的学校づくりの取り組みが再開されつつある動向を把握し、2024年度は、北海道から四国まで、全国のいくつかの自治体、学校におけるアウトリーチ型の対話的指導行政の実践を観察し、関係者へのインタビュー調査を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍では、児童生徒、保護者・住民、教職員による対話的公共空間づくりが敬遠されてきた。ようやく、2023年度から、例えば鳥取県南部町の学校づくり会議も再開されたところである。 1年延長して進める2024年度は、北海道、東京都、神奈川県、長野県、愛知県、滋賀県、鳥取県、高知県などのアウトリーチ型の指導支援行政を取り入れた学校改善の実践に注目し、これらを観察、面接調査をし、ビデオ映像にまとめるとともに、「アウトリーチ型の指導支援行政をとりいれた学校改善プログラム」にまとめあげるこのために必要な録画機器を購入するとともに、冊子体にまとめ、広く関係自治体、学校に送付する。また、米国大都市(ニューヨーク市等)の有益なプログラム(カマープログラムなど)との交流を深めることができた場合には、訪問観察し、これも報告書に盛り込むことも検討したい。
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