研究課題/領域番号 |
21K02205
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研究機関 | 昭和音楽大学 |
研究代表者 |
岸本 智典 昭和音楽大学, 音楽学部, 講師 (50757713)
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研究分担者 |
今井 康雄 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (50168499)
相馬 伸一 佛教大学, 教育学部, 教授 (90268657)
生澤 繁樹 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70460623)
小山 裕樹 聖心女子大学, 現代教養学部, 准教授 (60755445)
河野 桃子 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 講師 (10710098)
関根 宏朗 明治大学, 文学部, 専任准教授 (50624384)
高宮 正貴 大阪体育大学, 教育学部, 准教授 (20707145)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教育思想史 / 西洋教育思想 / 歴史叙述 / メタヒストリー / 教職教養 / 教育哲学 |
研究実績の概要 |
令和3(2021)年度においては、単著1点、共著への寄稿1点、雑誌論文10点(共著3を含む)、学会発表1という実績があがった。 研究組織共同の取り組みとしては、2021年8月9日(月)に2021年度第1回全体研究会を、2022年3月16日(水)に第2回全体研究会を、いずれもZoomオンラインミーティングの形式で開催した。第1回は本科研の研究代表者と研究分担者および研究協力者が一同に会する初めての機会だったので、全体の研究目的や各自の役割について確認したうえで、本科研のテーマに関する各自の近年の成果(教育思想史に関する論文や書籍など)について報告し、以後議論すべき論点など、研究会としての出発点を確認した。 第2回研究会では研究課題に関わるより専門的な内容について具体的に報告がなされ、それらについて議論した。まず、研究分担者の高宮正貴(大阪体育大学)が教育思想史の特殊な位置づけの観点(「なぜ教育思想史を書くのか」)から英国のO・ブラウニングとR・H. クイックの教育思想史叙述を比較する報告をおこない、続いて研究協力者(当時)の吉野敦(大分大学)が教育と科学との関係という観点からフランスのマルク=アントワーヌ・ジュリアンの思想とその知的・社会的背景について分析する報告をおこなった。最後に研究分担者の今井康雄(日本女子大学)から、「過去との関係をどう捉えるか」という視点のもとドイツのハンス=ゲオルク・ガダマーの『真理と方法』を再読する報告がなされた。前二者からの報告は、本科研が課題とする英米仏独日の教育思想史叙述の比較検討にそれぞれ資するものであり、また最後の報告にあった私たちと「過去との関係」を問う視点は、本科研のメタな問いであるそもそも「教育思想史」をどう考えればよいかについて熟考を促すものであり、議論も含めて極めて有意義な研究会となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大が継続かつ不測の状況下であったため、当初の研究実施計画においても抑制的に計画していた。そのようななか、予定していた全体研究会を2回実施することができ、なかでも第2回の全体研究会において西洋の教育思想史叙述に関する報告を2件、思想史叙述一般に関する報告を1件検討できたことは大きな進捗であった。これらの研究会における準備作業を踏まえて、2022年度には教育思想史学会において研究代表者および研究分担者による英米の教育思想史叙述を比較する報告が複数計画されている。 以上の理由より、区分(2)「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
まずは研究計画通り、全体での研究会および学会報告を着実に実施していく。2022年度は第一に、8月に全体研究会を実施し、英国のO・ブラウニングやR・H. クイックの教育思想史叙述と、米国のヘンリー・バーナードの教育思想史観とをともに取り上げながら、教育は「科学」か「技術」かという視点からもろもろの思想史のなかでの教育思想史の特殊性を浮かび上がらせる。そこでの議論を踏まえて、9月には教育思想史学会で同内容を発展・洗練させたものを報告する。新型コロナウイルス感染症拡大の状況が好転すれば、米国での調査をはじめとする海外における資料調査や、海外へ向けた研究成果の発信も進めていく。 なお、吉野敦の本課題研究上の身分が「研究協力者」から「研究分担者」へと変更された。これにより、フランスの教育思想史叙述に関する個別の知見の蓄積が積み上げられやすくなり、また、分担者間のコミュニケーションの円滑さから英米仏独日の教育思想史叙述の比較や相互受容といった本課題のテーマについての議論がさらに充実することが期待される。 依然として新型コロナウイルス感染症拡大による困難な状況は継続しているが、状況の変化に適切に対応し、国内外の研究会や学会での報告、国内外での資料調査について、場合によってはオンラインも活用しながら当初の目標を達成できるように柔軟かつ機敏に対応していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において本年度も国内外の出張に制限が生じたため、旅費の使用が抑制され、代わりに使用額の多くを図書購入を中心とする資料収集へと配分した。繰り越した額は、状況が好転した折に海外への資料調査をはじめとした渡航旅費へとあてる計画である。
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