| 研究課題/領域番号 |
21K02206
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| 研究機関 | 関西外国語大学 |
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研究代表者 |
藤田 弘之 関西外国語大学, 国際文化研究所, 所員 (10033581)
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| 研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | スコットランド総合教職評議会 / 教師の生涯にわたる職能成長 / 教師の現職教育 / 教師の資質能力 / 教師の専門職基準 / 教師の専門職登録更新制度 |
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| 研究実績の概要 |
本研究はスコットランドにおいて教職に就いた後の教師の生涯の学びを推進・支援することを意図した、専門職登録更新制度(professional update)についてその有効性を明らかにすることを目的としている。スコットランドでは教師資格の取得後、専門職団体であるスコットランド総合教職評議会(General Teaching Council for Scotland、GTCS)に登録申請し、これが受理されなければ教職に就けない。この登録は各教師の継続的な学びの記録を基礎に5年毎に更新されることになっており、これが登録更新制度である。これまで制度そのものについては、関係文献を収集し、推進主体であるGTCS、スコットランド教育庁(Education Scotland)等の関係職から入手した各種文書を中心に究明してきた。本研究はこの制度が具体的にどう作動しているかを現地で確認しその有効性を判断しようとしている。ただ現地での調査を行うために関係機関、及び関係職に連絡を取ったものの、コロナ禍の影響がなお続き、十分な協力を得られない状況が続いた。そのために関係機関と交流しつつ、さらに文書や情報の入手を続け、特に登録更新制度の重要な柱の一つである、教師各自の自己評価、またGTCSの運用のための専門職基準について、また専門職団体であるGTCSの淵源についての研究を進めた。教師の専門職基準は1990年代に入り策定が進められたが、2012年にはGTCSが主体になってこれを策定した。これはその後の教育改革の進展を踏まえ、登録更新をさらに実質化するために2021年に全面的に改訂された。本年度はこの専門職基準のうち、特に校長及び管理職のための専門職基準、およびGTCSの設置に繋がるスコットランド教育協会(Educational Institute of Scotland)についての研究を進めた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に述べたように、これまでコロナ禍の影響でスコットランドの現地で学校現場や関係機関を訪れ、関係者や教師と会い、聞き取りをしたり、また登録更新制度の重要な柱である、専門職としての振り返りと見直し(Professional Review and Development、以下PRD)の実際の場面に立ち会い、その運用を確認することができなかった。しかし、その分研究を進めるための基礎となる資料や情報をさらに十分に収集、分析し調査のための準備をより万全に行うことができた。登録更新に際しては、教師が行った自らの学びを自己評価し、記録し、またそれを校長はじめ管理職と話し合いをし、これらを基礎にさらに必要な学びを進めるが、特にその際の基礎になる専門職基準については、詳細な資料を入手し、その内容を分析した。また校長職、管理職基準において登録更新制度の実を上げるため、校長や管理職が備えるべき諸能力についての究明を行うことができた。またこうした資料の分析を通して、教師の生涯に及ぶ学びを推進するための、インセンティヴの在り方やその仕組みを明らかにすることができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
既に述べたように、これまでコロナ禍の影響がなお残りスコットランドの現地での調査を行うことができなかった。今年度は調査が可能な状況になっており、スコットランドの現地に赴き、専門職登録更新制度の実際の運用や有効性、問題点などを明らかにしようとしている。この調査については既にスコットランドの関係者と連絡を取り詳細な計画を立てている。特に前GTCSの会長であるミュアー(Muir)氏、スタッフォード大学名誉教授のヒュームズ氏(Humes)、GTCSの登録更新担当のモーレイ氏(Morley)、前GTCS部長オスラー氏(Osler)等の支援を受けており、こうした人々にさらに紹介を依頼するとともに行おうとしている。具体的には、GTCS及びスコットランド教育庁での登録更新制度の運用、管理、統括の実態の把握、地方当局関係職の登録更新制度への支援活動、各学校でのPRDの実際場面でのcoachingやmentoringの作動状況の確認、校長及び管理職の教師の生涯にわたる学びに対する支援の実際の確認を行う。また教師(関係者に推薦してもらうことにしている)に対するインタビューにより、各教師がどこで、どのような学びをどれくらい、どのように行っているか、学びに際して費用負担はどうなっているか、学びのためのインセンティヴの制度は有効かなども把握したい。さらに教員組合であるスコットランド教育協会(Educational Institute of Scotland)の関係者にインタビューし、こうした登録更新制度を組合がどう考え、これにどう関わっているかを把握する。以上のような調査を行い、登録更新制度の運用の実態やその有効性の判断を行いたいと考えている。今後現地での調査を基礎に分析し、我が国免許更新制度廃止の経緯と比較したい。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
既に研究の概要や進捗状況、研究計画などでも説明したが、コロナ禍の影響がなお続き、現地に赴き、調査を行うことができなかった。今年度は状況が改善しており、調査が可能な状況になっているので、調査関係の費用に充てたい。
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