本研究では、主としてバスケス(Vasquez,V.)が初等教育段階の教師として展開した教育実践の記録を教師としてのライフヒストリーを視野に入れながら分析することを通して、批判的リテラシー教育を展開するための教育方法について検討した。 バスケスの教育実践には、①子どもの生活や生活の中で出会うテキストに対する子どもの問いや気づきを実践の契機とする、②生活の中にある社会的課題に取り組む教育実践を言語教育としての批判的リテラシー教育の視点から構想する、③「学習の軌跡(Audit Trail)」を制作することによって「偶発的に展開する」諸実践間に連関をつくり出す、といった特徴があることを明らかにした。
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