研究課題/領域番号 |
21K02228
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研究機関 | 愛知東邦大学 |
研究代表者 |
丹下 悠史 愛知東邦大学, 人間健康学部, 助教 (50801726)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 間接経験資料 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、(1)子どもの道徳判断の潜在的な様相(価値観や思考過程、対象への自我関与)の把握を可能にする分析手法の開発および(2)小・中学校の道徳授業の分析による子どもの道徳判断の変容過程とその要因を記述した理論的モデルの構築である。 2021年度は、(1)に関わって、分析手法の開発に向けた文献レビューを行った。とりわけ1960年代から70年代にかけて盛んに展開された道徳授業論を検討し、そこに見られる道徳授業に固有の指導観や学習観から、分析手法における事例の概念化の手がかりを探った。その成果として、直接的な生活経験の反省を間接的に表明し交流し合う場として道徳授業における学習をとらえる井上治郎の授業論が、子どもの多様な判断の様相を可視化する分析の枠組みとして有用であることを確認できた。井上は、子どもが元々に有している道徳観を構成的に育てていく過程として道徳授業をとらえており、こうした視点は、本研究が採用する発言や行為の背後にある子どもの思考体制に焦点を当てる授業分析の方法論に親和的であると考えられる。 一方、2021・2022年度に手法の開発を完了させる当初の計画に照らすと、他に予定していた倫理学、行為の哲学、授業分析研究のレビューの進行が遅れており、2022年度にはこれらに注力する必要がある。 全体的には当初の予定通り、2022年度中に上記の課題に取り組み、後半の2023・2024年度に事例分析からモデル構築を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の見通しに比して年度内の課題達成に要するエフォートが大きく、部分的にしか完了しなかった。 また、新型コロナウイルス感染症の流行により、後半より行う事例分析の協力者(校)への依頼が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
開始時の予定から変更はない。 前半の2年目にあたる2022年度は、(1)道徳授業の分析手法の開発に取り組み、2023年度から(2)小・中学校の道徳授業の分析にもとづく理論的モデルの構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
文献調査のための資料の収集を本年度中にほぼ完了させることを予定していたが進捗が遅れたことが主な理由である。 次年度使用額は、翌年度請求分と合わせて、本年度分に入手する予定であった資料の購入に充てる予定である。
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