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2021 年度 実施状況報告書

地域社会教育におけるInformal 教育論の展開に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K02240
研究機関九州大学

研究代表者

岡 幸江  九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50294856)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード地域社会教育 / Informal Education / スコットランドCLD / ポストコロナ / 社会教育士 / conversation
研究実績の概要

本研究は、組織化を伴う地域の集団に教育基盤を想定してきた日本の社会教育に、日常生活の関係性のなかで生活主体を育む教育としてのインフォーマル教育の視座を導入していくための、実証的な基礎作業を行おうとするものである。
その方法として、申請時には学習者の生活世界に基づくconversationべースの英国informal教育論および、その延長上におけるスコットランドCLD(地域教育)生成の動態に迫ることを試みるとともに、日本の社会教育制度内外の地域実践において、ポストコロナ下にいかなる自己教育空間が生成し、そこに教育的関与が行われているかの実態調査を、教育者性・空間性の座標軸で区分した4パターンにおいて行い、それを通して「社会教育士」像のモデル生成につないでいくことを予定している。
研究初年度である令和3年度の成果としては、以下のとおりである。①スコットランドCLD論に関する資料収集に着手した。②北部九州の公民館へのコロナ禍下影響調査として、福岡県久留米市のコミュニティセンターに関する全館調査および、センターと市内市民活動との関連に関する調査を行った。令和2年度に行った福岡市公民館調査との比較可能な資料を収集することができた。③北部九州公民館ネットワークをベースとした参画型調査を行う前段階として、関係者らとのネットワークづくりを行った(研修機会の共同実施、関係者による全国集会準備)④伝承の教育の継承のありかたの模索にかかわって、関係者で合計14回のZoom学習会を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和3年度、英国informal教育論およびスコットランドCLD(地域教育)生成の動態調査にかかわって、令和4年3月に海外渡航による予備調査を予定していたが、コロナ禍により、文献資料のインターネット等による探索以外は実施できず、海外調査は翌年以降に繰り越すこととした。予算も大半を次年度以降にもちこしたことから、「やや遅れている」の区分を選択している。
北部九州の公民館へのコロナ禍下影響調査として、令和2年度に申請者がすでに実施していた福岡市調査に加えて、令和3年度には福岡県久留米市のコミュニティセンターに関する全館調査を行うことができた。センターのみならず市民活動参画層がすすめるオンライン公民館との関係をふまえ、ポストコロナのオンラインとリアルをハイブリッドしたコミュニティ像への探索が可能となる調査となった。この点は当初の調査計画にはなかったが、ポストコロナの状況の推移のなかで、コミュニティ像自体が実態的に新たに胎動していることを察知したことにより、新たに計画することができた調査であった。
一方、申請時には実践者の参加による参画型のネットワーク的調査を行う計画を提出していたが、これについては、令和3年度はそのネットワークづくりを行う段階にとどめ、これも調査は4年度以降にもちこすこととした。
このほか、地域および都内保育園における伝承の教育については、関係者で昨年4月から合計15回のZoomオンライン会議を重ね、当初のテキスト分析から現在は伝承場面の映像分析に着手している。

今後の研究の推進方策

まず、スコットランドCLDに関する海外調査にむけて、渡航予定者による学習会の組織化を予定している。「地域(Community)」という概念にequalityやSocial Justice概念が重ねられていく論理や背景の事前検討を予定している。そのうえで、令和5年3月度または令和6年9月度の共同調査にむけて準備をすすめる。
第二に、北部九州の公民館ネットワークをベースとした共同調査を企画実施する。ポストコロナにむけた実態調査として行う予定であったが、現段階としてはコロナによる対応実態の調査というよりも、ポストコロナのコミュニティ像(関係基盤像)の探求を全面にだしつつ、そこでのCommunity educatorのありかた、および空間・場の役割について検討していく予定である。令和4年度後半期に調査設計(共同ワークショップの実施)、令和5年度に調査実施を行う予定である。
第三に、伝承の教育を今日的にどう顕在化させるかという課題についてである。コロナ禍ということもあり、保育園における調査は簡単ではない。そのため、Zoom会議メンバーとともに、メディア媒体やより身近なInformal教育空間における実践化の可能性にむけて検討をすすめつつ、その際検討すべき課題を引き続き検証する。

次年度使用額が生じた理由

初年度に予定していたスコットランドへの予備調査を、コロナ禍の状況により実施できなかったことが、次年度使用額が生じた、最大の原因である。
予備調査および本調査と2段階にわけて考えていた調査を、翌年にタイミングをみはからい、第1回実施時にも、より集中的に海外渡航調査を実施ように計画変更し、実施を試みたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Community learning that fosters parties involved through collaboration between schools and community2022

    • 著者名/発表者名
      Sachie OKA
    • 雑誌名

      KNU The Journal of Educational Research(公州大学校教育研究所)

      巻: Vol36, No.2 ページ: 41-60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 対話の文化に支えられた社会教育の学びを―九州大学社会教育主事講習の実践から2022

    • 著者名/発表者名
      岡 幸江
    • 雑誌名

      月刊社会教育

      巻: 第66巻第4号 ページ: 17-22

  • [学会発表] Withコロナ期の社会教育学研究の課題2021

    • 著者名/発表者名
      岡 幸江
    • 学会等名
      日本社会教育学会東京6月集会
    • 招待講演
  • [学会発表] ローカルな経験や思いを引き出す地域学習―暮らしと仕事の分断を超える離島の小中高一貫教育の事例からー2021

    • 著者名/発表者名
      岡 幸江
    • 学会等名
      International Conference on Community Engagement Educational Research(Co-Hosts: BrainKorea21 Research Teams at Kongju National University & Yeungnam University/オンライン開催)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 離島の単独自治体における地域と教育ー長崎県小値賀町の事例から2021

    • 著者名/発表者名
      岡幸江,恒吉紀寿,溝内亮佑,山城千秋
    • 学会等名
      九州教育学会第73回大会
  • [学会発表] 片野親義氏における「実践の表現」をめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      岡 幸江
    • 学会等名
      日本公民館学会スプリングフォーラム
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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