研究課題/領域番号 |
21K02244
|
研究機関 | 福山市立大学 |
研究代表者 |
劉 郷英 福山市立大学, 教育学部, 教授 (20434904)
|
研究分担者 |
小野 方資 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (30569827)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | CLD児 / 言語学習 / 発達保障 / 子どもの権利 / アクション・リサーチ |
研究実績の概要 |
1、関連文献・資料の収集・吟味:Culturally Linguistically Diverse Children (以下、CLD児)の「母語」習得についてアクションリサーチを進めるうえで、重要とみられる文献を収集し、講読した。併せてCLD児を対象として進められている学習支援の実践例や政策についての文書の収集をした。2、アクションリサーチ:今年度はコロナ禍のもとでなかなか進められないながらも、3件の子ども・その保護者の研究協力を得て、アクションリサーチを(施設が入構制限等で使用できない時期を除き)断続的に実施した。このリサーチは、二人の研究協力者により実施された。このうちのひとりはすでにCLD児への学習支援に長く携わっている者であり、もうひとりは海外での在住が長く、日本語指導にも携わってきた者である。この二人が主となりリサーチをし、そのたびにフィールドノートを作成している。このノートは、二人の研究協力者、研究代表者、および研究分担者とで共有され、研究・分析の材料となっている。3、学会発表・論文の状況:上述のとおり、アクションリサーチの日を十分には設けられなかったという状況下にある。しかし現在は、そのさなかでも実践できたアクションリサーチのノートを蓄積し、分析している段階にある。今年度の蓄積と分析とを基にして、次年度は学会での報告を計画している。また、CLD児が学校教育における生活指導上の問題として処遇されることもあるとの視座のもと、生活指導学会の年報に論文を掲載した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の1年目にあたる令和3年度は、新型コロナウイルスの流行により、アクションリサーチの実施がそもそも阻まれるなどにより、申請時に想定していた研究計画よりもアクションリサーチに取り組めなかった。また、CLD児への支援実践の調査のために他地域に訪問することも、現今の状況下で困難になっている。ただし、研究協力者に本研究への理解が得られたこともあり、実施できたアクションリサーチは順調に進んでいる。また、CLD児への支援や発達について研究した文献の収集や講読には力を傾けることはできた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、蓄積されたアクションリサーチのノートを分析し、CLD児が「母語」を学習していく過程での困難の原因を引き続き探求し、これに基づきながら「母語」学習のために求められる実践的な取り組みを重ねる。併せて、この学習を困難にしているCLD児のまわりに立ちはだかる障壁を明らかにし、これに対する取り組みのあり方を省察していく。特にアクションリサーチにより、学校教育現場等でCLD児が学習の場で経験している「ブラックボックス」の中身が明らかになることが期待される。発達保障論の知見を検討しながら、CLD児へのアプローチも検討していく計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度内に新型コロナウイルスが流行し、出張による研究が困難になった。今年度は、新型コロナウイルスの流行状況に注意をしながら、現地に赴いての研究につとめる計画である。
|