研究課題/領域番号 |
21K02250
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
山本 由美 和光大学, 現代人間学部, 教授 (00442062)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シカゴ教員組合 / コミュニティ・スクール / 学校統廃合 / 持続可能性 / 学校自治 / ローカル・オーガナイゼーション / 教育行政学 / 父母参加 |
研究実績の概要 |
米国イリノイ州シカゴ市における、持続可能なコミュニティ・スクール制度の成立、およびその実態について調査研究を行い、ローカル・オーガナイゼーション(住民組織)と連携して地域に学校を存続させようとするシカゴ教員組合の運動について、調査、分析を行うことを目的とした。 1990年代以降の産業構造の転換に応じた学校再編計画の中で、特にシカゴ市では貧困地域の地域学校が閉鎖、統合の対象となって。それは自治体政府、財界の経済的な目的によるものであり、ジェントリフィケーション(再開発)の一環として行われてきた点が特徴的である。 容易に地域の学校を閉鎖計画の対象にすることによる学校紛争が起こることを回避するために、学力テスト「結果」で学校を評価して閉鎖したり、民営化の対象にするのではなく、地域のローカル・オーガナイゼーションと連携して予算化し、子どもたちだけでなく地域全体を含む対象に包括的なサービスを充実させていく制度を導入している。 その契機となったのが、2016年のシカゴ教員組合と市教育委員会当局との団体交渉であり、さまざまな学校への条件整備要求の中から、特に貧困地域の学校に対して包括的なサービスとして獲得されてきたものである。 その実態について調査検証し、学校閉鎖などにより、地域の衰退をもたらす教育改革の問題点とそれに対するオルタナテイブを明らかにしようとするものである。それは日本における学校統廃合を含む教育改革の批判的な検証にも寄与すると思われる。 文献研究、およびシカゴ教員組合関係者へのズームインタビューを行うことはできたが、対象の調査研究を十分に実施することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、シカゴ市への訪問調査、および比較研究のための国内の自治体の訪問調査を行うことができなかったため、特に持続可能なコミュニティ・スクールの実態を調査研究する計画に起きれが出ている。 持続可能なコミュニティ・スクールを実現する契機となった、学校統廃合をめぐる学校紛争および教員組合の政策については、文献および調査研究を行うことができた。 シカゴ教員組合関係の教職員、学校評議会のメンバー、保護者などには、Zoom、でインタビューを行うことが一定程度可能であった。その内容を系統的に分析する仕事に着したばかりである。、
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今後の研究の推進方策 |
2022年6月17日から19日に米国イリノイ州シカゴ市において、シカゴ教員組合の執行部が組織に参加しているLabor Notesの年次大会が開催される。そこに参加して、この間のコロナ禍における教員組合の活動および方針について学び、さらにインタビュー、資料収集を行う予定である。 日本における学校統廃合をめぐる学校紛争の状況と、地域に学校を維持する方途について比較的に調査研究を行う。その際、教員組合が保護者、地域の組織と連携する実態については調査及び検証をおこなっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、予定していた交通費を用いた訪問調査研究を行うことができなかったため、予算を翌年に持ち越した。
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