研究課題/領域番号 |
21K02250
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
山本 由美 和光大学, 現代人間学部, 教授 (00442062)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 教育行政学 / シカゴ教員組合 / 社会正義 / コミュニティ・スクール / ローカル・オーガナイゼーション / 学校評議会 / 労働協約 / ホームレス生徒 |
研究実績の概要 |
米国シカゴ市において、シカゴ教員組合が団体交渉で獲得した持続可能なコミュニティ・スクール制度について、文献研究、および来日した連邦教育省のホームレス生徒担当職員へのインタビュー、シカゴ市での教員インタビューなどを行うことができた。 アフリカ系アメリカ人やヒスパニック系コミュニティの貧困地域の公立学校において、シカゴ教員組合と指定された地域のローカル・オーガナイゼーションが共同して、生徒への福祉、医療サービスなどを充実させる公的な制度である。各学校にコーディネーターが配置され、学校ごとに独自の活動を行っている。 その生徒のうち多くの割合を占める、4区分される「ホームレス生徒」の実態および、全米のネットワークについて検証することができた。2023年4月にシカゴ市長に就任したブランデイン・ジョンソンはシカゴ教員組合の出身であり、ホームレス家族への支援のために新しい不動産税を導入しようとしたが、その議案を議会で僅差でさせる通貨させることができなかった。不動産関係企業など財界の反対が強かった。また一方で、ジェントリフィケーション(再開発)を進めるために、学校が閉鎖されコミュニティが壊された地域で、コロナ禍の後の、ダメージを受けた子どもや保護者の回復が図られた。 シカゴ教員組合は、コモングッズのための団体交渉(Bargaining of Commo Goods)と称して,コミュニティや保護者の利益のための項目を盛り込んだ団体交渉を行っている。団体交渉担当の組合教師へのインタビューなどから、それらの具体的な実態について研究することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホームレス生徒担当者、教員組合教師に直接インタビューを行い、背景的な実態について詳細に検証することができた。シカゴ教員組合の最新の動向についても調査することができた。 ただし、ケンウッド、オークランド地域の具体的な学校訪問が実現できなかった。実際の活動、生徒の実態、学校運営などについてに十分に検証することができなかった。また、社会的公表に向けた研究のまとめについてはまだ十分に進められていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象とする持続可能なコミュニティ・スクール(高校1校、小学校1校)について、文献などデータ収集により、その活動実態を明らかにする。必要であればZoomによるインタビュー、聞き取り調査を行う。 団体交渉における労働協約の分析により、指定された持続可能なコミュニティ・スクールへの条件整備、運営の実態について検証する。 この3年間の研究成果をまとめて、社会的に公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
シカゴ市への訪問調査を2023年度までに実施できなかった。実際に持続可能なコミュニティ・スクールを視察調査するために今後訪問する予定である。
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