研究課題/領域番号 |
21K02253
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
三宅 晶子 奈良大学, 文学部, 教授 (20181993)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 古典教育 / 言語文化 / 古典文法 / 古典芸能 / 能 / 狂言 / 古典文学 / 古文 |
研究実績の概要 |
高等学校の学習指導要領が改訂され、2022年度から施行される。目下教科書検定中という時期にあたる。新学習指導要領下において、どのような古典教育が必要で、どのような教科書が望ましいのかについて、調査・考察していが、本研究の概要である。初年度に当たる当該年度は、コロナ禍で活動に制限を加えざるを得ない状況であったので、予算の大半を次年度へ繰り越しの処置を行った。 新教科書ではどのような教材が採用され、どのような教育内容が示されるのかを、調査分析することが必須のことである。当該年度には「言語文化」の教科書のみ検定が終了し、各高校において、採用教科書が決定された時期であった。申請者は、刊行された全17種類の教科書を網羅的に調査・分析を行った。その一部を奈良大学国語教育研究会(2021年8月)において、発表した。 従来古典教育が高等学校教師や生徒たちに受け入れられない大きな要因として、文法教育の弊害が上げられているので、これについての現状分析と、打開策の提案を2つめの柱としている。これについては、現在刊行され、高校現場で使用されている古典文法のテキストや参考書を収集し、その内容調査を実施する計画である。当該年度には、主要なテキストを数種類分析した。その結果を古典教育デザイン研究会(2022年3月)において発表し、参加した多くの高校教員たちと、意見交換を行った。 3つめの柱として、文字情報に限らない古典教育への試みとして、古典芸能のどうにゅうについて研究を進めている。当該年度には、これまでの集大成的な形で「大和を舞台とした能ー竜田山を越えていく業平」と題して講演を行った(奈良大学WEB令和館講座)。 またこれまでの古典教育関連の論考を編集した『もう一度読みたい日本と古典文学』(勉誠出版2021.7)が刊行できたことも、大きな成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で活動を制限せざるを得なかったため、各地の図書館での文献調査や、研究会の会合が行えなかった。研究会はZoom開催が可能ではあるが、小規模の日常的な研究会レベルの活動は行わなかった。 また高等学校国語の新教科書は、「言語文化」が検定終了段階で、勤務校の附属高校のご厚意によって、全教科書の網羅的な調査は可能であったが、まだ未入手である。 「古典探求」に関しては、順調にいけば来年度検定済みとなるので、その内容調査ができるであろうが、現段階では何の情報も得られず、手つかずである。 というような状況であったので、できる限りの活動は行ったが、やや遅れているという区分にせざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、「言語文化」の全教科書と、その中で重要と思われる数点に関しての指導書を購入し、より徹底した内容調査と、それを使用してどのような指導が可能か、不可能かなどを分析していきたい。 「古典探求」が検定済みとなった暁には、それらの内容調査を行う。 古典文法のテキスト収集をさらに進め、網羅とまではいかなくても、体系的な把握ができるように、努力する。 能・狂言の魅力的な紹介テキスト作りが、当該年度には中断したままだったので、今後はその完成を目指して、協力者との意見交換を重ねて、よりよい作品に仕上げていきたい。 『もう一度読みたい日本の古典文学』の続編的位置づけとなる、『学校で教えたい日本の古典文学』(仮題)を編集する。申請者は古典芸能の活用について、執筆予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で、研究会や図書館での調査、打ち合わせなどができなかった。 テキスト・教科書・指導書の入手が予想以上に困難であった。 当該年度に無理に予算消化するよりも、次年度に事態が好転したら積極的に活動したいと考えたので。
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