本年度は、最終年度のため、研究の総括に向けた取り組みに重点を置いた。また、勤務地変更(研究環境変化)も同時に生じた年度でもあった。 本年度の取り組みの1点目は資料収集の継続である。調査先自治体が発行する最新の教育要覧等の資料の継続的収集を行った。 2点目は、収集資料・インタビューデータの分析である。CS実践における教師の受益圏・受苦圏を考えるにあたって、①資料分析として調査先自治体及び学校が発行した資料、特に学校運営協議会設置以前の取り組みから現在に至るまで発行された資料を含めて分析を行った。②当事者教師のインタビューデータの分析を精緻に行った。ただし、教師のインタビューデータのみの分析では考察が難しいため、③CS運営に関わった地域住民(元保護者)、教委事務局関係者のインタビューデータの分析を併せて行うことで、事例の構造化に努めた。 3点目は、2点目の状況を踏まえて、教師研究、学校経営研究等に関する文献収集を追加で行いながら、先行研究との対比を進めて研究成果物作成に取り組んだ。最終的には、関連学会等での発表を目指すことで成果の公表に向けて進めている。 最終的に、学校運営協議会の設置、CSの取り組みを行うことで、①受益として教師と子どもの日々の取り組みを知ることで保護者や地域住民、教委事務局による支援が導入・充実していき、継続的取り組み・学校課題・地域課題解決が加速したり、教師や子どもを支える「学校運営の組織化」の様相や「教育政策実施者としての教師」が与える影響について確認した。②教師が実際に感じたCSの効果等について検討することができた。一方で受苦についての描出は途上で、今後も継続していく必要があり、調査先の特性上、厳しい学校課題、地域課題に対して教師、保護者、地域住民、教育行政が協働して課題解決、教師の取り組み支援・関係構築を進めていた点に留意する必要がある。
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