研究課題/領域番号 |
21K02264
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石田 雅春 広島大学, 75年史編纂室, 准教授 (90457234)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 文理科大学 / 高等師範学校 / 新制大学 / オーラル・ヒストリー |
研究実績の概要 |
令和3年度は、(1)新制大学の前提となる旧制大学の実態と(2)新制大学の関係者の証言について研究成果を発表した(刊行予定も含む)。前者については、石田雅春「広島文理科大学・広島高等師範学校における歴史学」(小澤実・佐藤雄基編『史学科の比較史』〈勉生出版、令和4年5月発行予定〉所収)として公表した。旧制大学の研究については、帝国大学に比して官立大学に関するものが少ない。そこで広島文理科大学を分析対象として、研究者の養成や教育の実態を明らかにした。新制大学において、旧制のさまざまなタイプの高等教育機関を「大学」として一括したしたことが、のちに問題を引き起こしたと考えられている。こうした旧制と新制の連続と非連続を分析する上で、本研究のような旧制度の実態把握は重要な意味と持つと考える。 また、後者については、『卒業生証言記録集(1)』広島大学オーラルヒストリー叢書1(広島大学文書館、令和4年2月)において、当時の関係者の証言を収録した。新制大学の定着過程において同時代を生きた人々がどのように認識していたのかが重要である。大学という制度と、その内部で実際に活動した人々の意識との相関関係を明らかにするためには、文献資料だけではなく多方面からの検証が欠かせない。こうした検証の一助とするため、オーラルヒストリーの手法を用いて昭和20年代半ばから昭和50年代初めまでの証言記録を収集し、公表の同意が取れたものを報告書に収録した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナの感染拡大により、まん延防止等重点措置の指定地域の往来が制限された。このため国立公文書館のデジタルアーカイブ等や図書館の文献複写サービスを利用し、必要な資料の収集を行った。 また、広島県内の資料保存機関や図書館が所蔵する一次資料について調査を行うとともに、関係者への聞き取り調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は他地域での調査を控えたため、今年度は国会図書館憲政資料室など県外での資料の収集につとめ、昨年度の成果とあわせて大学の運営に関する臨時措置法の制定過程について重点的に分析する予定である。
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