研究課題/領域番号 |
21K02266
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
木下 慎 都留文科大学, 文学部, 講師 (10803257)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 存在論 / 共存在 / 開け / 自由 / 主体 / 脱構築 / ケアリング / デモクラシー |
研究実績の概要 |
本年度は、ジャン=リュック・ナンシーの存在論の観点から、教育の場における開かれた共同性について考察を行った。その成果は、論文「存在の開けと教育の責務:ナンシーの存在論から」(教育哲学会『教育哲学研究』所収、第128号、59-77頁、2024年)にまとめた。本稿では、ナンシーの存在論の基本構成をハイデガーの存在論との対比で、存在の「開け」の概念を軸に、共存在論としての存在論として把握し、その教育学的意義を「自由の教育」という観点から提示した。ハイデガーの存在論に立脚した「自由の教育」の構想とナンシーのそれを対比させることで、ナンシーの存在論が教育学に与える示唆が明確になるように努めた。従来の先行研究では、ナンシーの共同体論を取り上げてその教育学的意義に触れた研究はいくつか見られたが、ナンシーの存在論の基本構造と照らし合わせて、教育の積極的な構想にまで展開する研究は見られなかったため、その点で本研究は一定の独自性を有している。 また、2022-23年度から継続的に検討してきた学校の共同性とそれを支える原理については『教育哲学事典』(丸善出版、2023年)所収の「教育と学校」の項目で、特にケアリングとデモクラシーという観点から概観した。教育の共同性と密接に関係する「主体」や「自由」の問題については、同書所収の「主体とエージェンシー」と「教育における自由とは何か」に簡潔にまとめた。さらに、脱構築及び脱構築以後の哲学の潮流が教育学に与える示唆については、同書の「脱構築以後の哲学の展開と教育」で触れた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度に育児休暇を取得したため、研究にやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果として、ナンシーの哲学から「自由の教育」という積極的なモチーフを取り出すことができたが、実践に対する具体的な提言にまでは至っていない。教育実践への具体化のためには、ナンシーの世界論と芸術論を関連させつつ掘り下げ、教師の教育的行為に関する具体的モチーフをそこから抽出する必要があると考える。その上で、ナンシーの共同体論へと再び立ち返り、新教育をはじめとした従来の教育の共同体論とは異なる方向性を本研究の最終成果として提示したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に育児休暇を取得したため、海外出張が困難となり、支出計画に変更が生じた。次年度についても出張が困難になったため、国内での文献調査を中心に研究を進める予定である。
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