研究課題/領域番号 |
21K02267
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研究機関 | 札幌学院大学 |
研究代表者 |
井上 大樹 札幌学院大学, 人文学部, 准教授 (00638281)
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研究分担者 |
宮嶋 晴子 九州女子短期大学, 子ども健康学科, 教授 (20598122)
榊 ひとみ 札幌学院大学, 人文学部, 准教授 (30757498)
大坂 祐二 名寄市立大学, 保健福祉学部, 教授 (70289677)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 親のエンパワーメント / 子育ての社会化 / 子育て支援の専門性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域子育て実践に内在する子どもに関わる大人(住民など)の「親理解」を深める学習を明らかにすることである。中でも、団体・機関(ネットワーク)の一連の事業を通じ、親と周りの関係がケアする、されるから親理解にもとづいたエンパワーメントとアドボガシー(代弁)が展開される転機となる学習がどこに存在し、親と他の大人の相互理解の深まりによる「親理解」の意識変化がどのようにもたらされるかに着目することとした。 3年計画の1年目である2021年度は、関係団体・機関の資料取集及びスタッフレベルのインタビューを行う予定であった。しかし、コロナ禍の影響が大きく、現地からの情報収集がほとんどできない事態に直面した。このような事態を受け、2021年度はメンバーが個別に関係団体・機関の資料取集及び調査課題の整理をすすめ、中間総括としての研究会を遠隔にて二度行った。一連の研究会では、地域子育て実践に参加する親が「支援者性」を帯びる際、「親」という存在をどのようにとらえ直すかについて、固有の学びの意義やプロセスに当面の研究を焦点化する方向性が見いだされた。2021年度実施できなかった現地に赴いての情報収集及び予備調査については、2022年度前期までにめどをつけ、2022年度中には当初予定の研究スケジュールにもどせるよう努めたい。その際、新型コロナウイルス感染症の状況に応じて、対面調査の予定を研究メンバー全員から近隣メンバーに変更し、他のメンバーは遠隔(オンライン)に切り替えるなど、調査手段については柔軟に対応することも適宜検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3年計画の1年目である2021年度は、関係団体・機関の資料取集及びスタッフレベルのインタビューを行い、当該団体・機関へ参加することによって各構成員が紡ぐ「物語」と共有している経験、価値観についてそれぞれの実践に即して仮説を組み立てる予定であった。しかし、2020年度から長期化するコロナ禍において、調査対象候補となる団体・機関の事業がなかなか予定通り実施できないことが多く、県境をまたいだ移動も規制・自粛が求められる中フィールドワークがままならず、現地からの情報収集がほとんどできなかった。また、研究者の打ち合わせも遠隔に限定されることとなった。 このような事態を受け、現地に赴いての情報収集及び予備調査以外の取り組みに2021年度は注力することとし、個別の関係団体・機関の資料取集及び調査課題の整理をすすめ、進捗の共有及び議論の機会(研究会)を、2021年12月18日、2022年2月28日に遠隔で実施した。一連の研究会では、コロナ禍において地域内でも様々な立場の人々が対面でつながることが非常に困難になる中、改めて親自身が地域子育てをコーディネートする実践の重要性が見直されていることが明らかになった。中でも、地域子育て実践に参加する親が「支援者性」を帯びる際、「親」という存在をどのようにとらえ直すかについて、保育者や一部の親たちが支援者になるための講習を受講するのとどのように学びの質やプロセスが異なるのかについて当面の研究を焦点化する方向性が見いだされた。
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今後の研究の推進方策 |
3年計画の2年目である2022年度は、前年度でできなかった調査候補の関係団体・機関の現地に赴いての情報収集及び予備調査を実施するとともに、後期からは「親理解」の転機になる学習が行われていると考えられる事業の事例検討を行い、当該団体・機関への参加による構成員、とりわけ「支援」側に移行する親、の「親理解」の学習過程を解明することを目指す。 任務分担としては、当初予定を大きく変更することはないが、新型コロナウイルス感染症に関わる移動の規制・自粛があった場合は、近隣のメンバーが主に現地に入ることとし、それ以外のメンバーは遠隔(オンライン)にて調査に加わることとする。その際、地域子育て実践における団体・機関機能及び住民(親など子育て当事者と含む)の「親理解」の意識変化を中心とした住民学習の一次分析は現地に入ったメンバーに任せることとし、二次分析移行を研究計画に示した任務分担ですすめることとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、関係団体・機関の資料取集及びスタッフレベルのインタビューを行う予定であった。しかし、コロナ禍の影響が大きく、研究メンバーの移動に大幅な制限・自粛があり、旅費について予定の大半を執行できなかった。それらをフォローするべく、資料収集などで他の経費を計上しているが、全体としては当初予算よりは大幅に執行額が少ない結果となった。2021年度実施できなかった現地へ赴いての調査(予備調査を含む)は、2022年度の早い時期に執行予定であり、旅費についても2021年度未執行分はこの時期に消化できる予定である。
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