研究課題/領域番号 |
21K02270
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
熊田 凡子 江戸川大学, メディアコミュニケーション学部, 准教授 (80744333)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 女性宣教師 / 教育活動の継続性 / 戦前・戦後の連続性 / キリスト教教育・保育 / 教育的役割 / 教育者・保育者のまなざし |
研究実績の概要 |
2021年度は国内外史料収集を中心に、「北陸学院史料編纂室」「東洋英和女学院史料室」での調査及び宣教師関連アーカイブ(東洋英和女学院史料室データ)の史料収集を行った。直接閲覧が不可能な「同志社」「関西学院」史料室からは、データ送付による史料収集とした。これらの史料群分析と専門書等の文献を併せ検討し女性宣教師の戦前・戦後期の教育的活動の実態と継続性を考察し公表した。 研究成果は、昭和戦前期の女性宣教師の教育活動の特徴を「地域に繋がる女性宣教師のキリスト教保育―史料に見る感染症と幼児教育を中心に―」(「共育とは何か~コロナ禍でキリスト教保育の養成について考える」日本保育学会第74回大会自主シンポジウム話題提供2021年5月15日)及び「日本のキリスト教幼児教育の実態と影響―J.K.U.年報の記録を中心に―」」(『100年前のパンデミック 日本のキリスト教はスペイン風邪とどう向き合ったのか 』共著、新教出版社 2021年6月17日)で、戦後の教育活動の継続性を「幼稚園における「教師会」の歴史的意義 ―キリスト教保育を一事例にー」(「保育者の多様な語り合いの場に観る人間性の育ちを考える ―自己確立を生み出す場、間の在りようを探る」日本乳幼児教育学会第31回大会自主シンポジウム話題提供2021年12月19日)及び「保育者の語りに見る人間性の育ち―多様な語り合いの本質的意義に関する考察― 」(共著、江戸川大学紀要 (32) 2022年3月)で公表し、キリスト教保育の継続性について『日本におけるキリスト教保育思想の継承―立花富、南信子、女性宣教師の史料を巡って』(単著、教文館、2022年3月10日)を出版した。 研究経費は、ノートパソコン購入207,878円、国内の史料館調査旅費で360,760円(北陸学院(石川県)360,080円、東洋英和680円)学会発表旅費で36,776円を精算した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度では、国内調査及び海外史料収集が計画通り進んだ点、また未調査となった点がある。今回は、カナダメソジスト女性宣教師の戦後の報告についてのアーカイブ史料データ収集は一定程度行えたものの、米国長老・南メソジスト・組合等の教派の宣教師史料については、翌年度の調査課題とした。また、今年度関われなかった国内の歴史資料館「横浜共立学園」「女子学院」「大阪女学院」「広島女学院」「西南女学院」等の宣教師関連史料については、翌年度秋期に収集・確認を行うことを各史料館に了承を得ている。 しかしながら、2021年度は、本研究の目的の一部である、明治期から昭和戦前期まで日本の幼児教育及び保姆養成に関わった女性宣教師の教育活動について、また戦後日本の教育復興を促した活動の一実態について、彼女たちが記録した一次史料である報告書に基づき分析を一定程度行うことができ、研究成果物を公表することができた。そのため、おおむね順調に進展していると評価できる。 しかし、当初予定していた史料室等での史料閲覧については、国内のコロナ禍の状況により、発展させることが難しかったため、今後、史料室での直接史料閲覧については、リモート相談、メール対応でのデータ閲覧等の交渉を行っていくことの検討も視野に入れておくことが妥当である。 また、資料撮影上デジタルカメラ、史料撮影用のスタンドスキャナー、記録用メディア等の史料複写に関する消耗品、備品の購入については、翌年度に繰り越すことになったが、これについては、史料収集が予定より遅れたことによるものであると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度では海外調査及び国内調査に取り組む。海外での直接史料閲覧および収集は、アメリカにおいて「米国長老教会歴史協会」「米国南メソジスト教会」のいずれかの史料収集、また女性宣教師の関連機関アーカイブ史料室(イリノイ大学・スタンフォード大学、シカゴ大学等)での史料調査(期間10日間2回)を、渡航が可能であれば行う。その際、海外渡航費滞在費(交通費・宿泊費・日当1名:400千円×2回夏期・冬期)を支出する。また、国内歴史資料館は前年度進展させられなかった、国内の歴史資料館「横浜共立学園」「女子学院」「大阪女学院」「同志社」「関西学院」の史料調査と文献等による分析の検討を行い、女性宣教師の教育的活動の全体像を考察する。また、それと共に、日本人保育実践者の立花富らの戦後の動向や教育実践の実態についての分析も可能な範囲で取り組む。国内の史料館での調査・資料収集調査期間を、11日間(東京都内1日5千円・横浜1日5千円、京都・大阪3日間50千円、神戸2日間40千円、広島2日間50千円、博多2日間60千円)を予定し、そのための国内旅費(交通費・宿泊費・日当1名)を支出する。他、史料収集に関する消耗備品(65千円)を購入し、史料複写・保存及び、成果物発表の際に使用することとする。調査先での現地協力者、関係者からの聞き取り用ICレコーダ(5千円)も購入する。 また、人件費(史料の整理アルバイト2022・2023年度分の年20千円)を支出し、調査史料の整理・保管の作業を行う。その他、現地調査研究協力者の謝礼(2022・2023年度分で20千円)を用意する。図書や資料の印刷及びその郵送代通信費(2022・2023年分の20千円)も使用することを見据えて研究を進めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外における史料の収集・調査が、コロナ禍の状況による制限の対応があったため、翌年度の調査に繰り越すことになり、史料調査旅費及び史料収集に使用する備品・消耗品費の使用が予定より少なくなったことによる。翌年度に調査を繰り越し318,586円を国内調査旅費と史料データ収集経費に使用することとする。
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