研究課題/領域番号 |
21K02271
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
樋田 大二郎 青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (80181098)
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研究分担者 |
大木 由以 青山学院大学, 教育人間科学部, 助教 (20637128)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 進路形成 / 地域学校協働 / 高校魅力化 / 地域社会に関する学科 / 地域活性化 / 地域課題解決型学習 / 社会構成主義 / 地域生態系 |
研究実績の概要 |
2021年度研究計画では高校の参加(“町まるごと学校”)によって地域生態系(=多様なステークホルダーの利害関心が複雑に絡み合っている地域社会)が変容する過程を明らかにすること、および個々のステークホルダー(行政、事業所、NPO、個人など)が組織原理や長所・短所が異なる高校(“異文化だった高校”)からの働きかけをどのように受容し深化したかを訪問調査する予定であった。 しかしながら、調査対象として予定されていた高校のうち2校から,新型コロナウイルス感染拡大を理由に高校訪問及び地域住民訪問は不可能である旨を告げられた。このためやむを得ず次にあげるように研究を縮小した。①島根県立高校1校(以降、S高校と呼ぶ)と宮崎県立高校1校の計2校を訪問し,教員、生徒及び地域のステークホルダーに対して聞き取り調査と資料の収集を行った。地域のステークホルダーの対象者は教育委員会、役場の高校支援部局、商工課、地元事業者、NPO職員、地域高校協働(高校魅力化)の地域側参加者であった。②このほか、鹿児島県の私立高校(以降、K高校と呼ぶ)の教員に対してオンラインで聞き取り調査を行った。K高校は高校魅力化に取り組みかつ生徒アンケートを丁寧に実施しており、研究会との間で知見とデータを共有した。③上記のS高校とは都鄙(とひ)間高大協働探究活動のプログラム開発のアクションリサーチを行った。地域学校協働(高校魅力化のための地域学校協働)による学びが生徒のキャリア形成に与える影響を「自分の問い直し」の観点から検討した。また、地域の活性化に与える影響を検討した。④研究会の調査結果の報告集(『地域人材育成研究』)の4号と5号を刊行した。4号では高校魅力化のための地域学校協働に取り組む北海道H高校の地元地域が協働に巻き込まれていく過程を考察した。5号では前述S高校が高校魅力化を開始し進化させていく過程を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度研究計画では、高校の参加によって地域生態系が変容する過程を明らかにすること、および個々のステークホルダー(行政、事業所、NPO、個人)が組織原理や長所・短所が異なる高校からの働きかけをどのように受容し深化したかを明らかにすることが予定されていた。これらは、翌2022年度に予定している生徒対象の質問紙調査作成の資料となるものであった。新型コロナウィルス感染拡大は、このような目的の2021年度の研究遂行に対して大きな障害となった。しかし十分な予防対策のもとでの訪問調査を受け入れていただいた高校・地域があったこと、オンラインでの聞き取り(研究のシェア)が行えたこと等により、十全ではなかったが研究計画を変更した上で概ね当初計画の通りの研究遂行ができた。 訪問調査では、高校の地元の行政や企業、NPOの存続と活性化の戦略、その戦略にとっての高校存続の意義や地域学校協働の意義等を聞き取ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染拡大が収まり次第、2021年度に訪問できなかった高校2校とその地元を訪問して当初計画の調査を行う。これと平行して、以下の2022年度に実施を計画していた調査を行う。①聞き取り調査:高校に焦点を当て、高校が地域生態系の一部となり組織目標・原理や長所・短所が異なるステークホルダーからの働きかけをどのように受容し、地域学校協働のエンジンになったかを高校側の視点から明らかにする。②質問紙調査:聞き取り調査を行った県を中心に20校程度で生徒対象質問紙調査を行う。これによって、近年の普通科改革で唱えられている地域社会に関する学習や地域課題解決型学習が生徒の学習意識や進路意識に与える影響を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウィルス感染拡大が収まらず、研究の中心である訪問インタビュー調査および質問紙調査準備が順調に実施できなかった。感染拡大がおさまると期待される2022年度に2021年度に実施できなかった分と2022年度分の研究計画を遂行する予定である。
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