研究課題/領域番号 |
21K02276
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研究機関 | 筑紫女学園大学 |
研究代表者 |
松本 和寿 筑紫女学園大学, 人間科学部, 教授 (50613824)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教育評価 / 教育測定 / 標準検査 / 戦後教育改革 |
研究実績の概要 |
コロナ禍による影響で当初予定していた資料収集がままならず、研究計画の変更を迫られた。そこで今年度は、収集済みの史資料の分析を中心に研究に取り組んだ。 その対象は、小見山栄一『ガイダンス 指導の理論と方法』金子書房(1949)、橋本重治『学習効果の評価・記録・通知』山口師範学校男子部附属小学校(1948)、文部省「昭和二十五年度都道府県別中学校学力検査 講評と問題正解」『文部時報特集』(1951.1)、「昭和26年度都道府県別中学校学力検査 問題と講評」『文部時報』(1951.7、1951.10)などである。また、国立国会図書館の遠隔複写による資料提供も受け、経験主義教育とガイダンスの関係やその際の評価の様子について検討した。 その結果、学力の評価やガイダンスの対象とされた児童生徒の特性の把握に、当時の教育心理学の知見を用いた測定の技術が利用されたこと、前者については5段階相対評価や標準学力検査が中心であり、その運用においては、教育現場による正規分布の理論に基づく相対評価の評語の配当割合の厳守など画一的な実施が見られたことが明らかになった。また、学校単独で標準学力検査を作成し実施した事実もみられた。後者については、職業適性検査や性格検査などの心理検査が多用されたことを確認した。 教育現場の画一的運用の背景には、経験主義教育による学力低下批判や、戦後新学制による高等学校入学者選抜の激化への対応などの事実があると考えられる。現時点では、教育心理学の立場から、測定結果の解釈や使用に関する一定の条件付けの下に提供された測定の技術(方法)を、教育現場が十分に理解し使用したとは必ずしも言えないことが明らかにできたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍による出張制限のため史資料の収集ができず、手持ち史資料の分析を中心に研究せざるを得ない状況であったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている手持ち史資料の分析を継続しつつ、夏季までを目途に新たな資料発掘を行う。それにより、経験主義教育とガイダンスにおける評価の実際について教育現場の声を中心に分析し、戦後教育改革期の「教育評価」について明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による研究活動の制限のため支出することができなかった。(調査研究のための出張や学会参加ができなかった。) 2022年度は、調査研究旅費や学会参加費、その他の経費として支出する予定である。
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