研究課題/領域番号 |
21K02279
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
熊谷 朋子 宇都宮大学, 就職・キャリア支援センター, 准教授 (80823319)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 学びと働き方の多様性 / カナダ / 高等教育資格の認証 / 高等教育制度 / 東京規約 / 多文化共生社会 / キャリア教育 / ダイバーシティ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は①高等教育資格(学修歴)を活用したキャリア形成の制度設計②個々人のキャリア形成にあたり学修歴を重視したキャリア教育の構築③日本国内の雇用と大学と高校までのシステムが相互に依存し固定している経路依存性の解消の3点に着目し柔軟に学び働くことができる社会の実現に向けて新たな視座を得ることである。 令和3年度はBC州政府の公文書や各教育団体が公表している文書やデータを調査分析やオンラインによる情報収集を中心に、BC州のK-12段階においてキャリア教育が卒業要件に組み込まれている教育システムや中等後教育としての公立カレッジが果たしている役割や機能について明らかにすることができ、多くの留学生や移民がBC州内で学び、雇用の場を得て定着していくまでの支援策についての調査を進めることができている。同時にBC州内外で学んだ学修歴を活かした教育機関への接続システムや、州内の公立カレッジでの学修歴が大学の単位に認定されるシステム構築について調査も進めている。 広大な面積を有しているBC州内において、公正な教育機会の提供を目指して地域の教育を管轄している公立のカレッジの役割と機能の整備は州政府が早くから着手してきた施策のひとつである。公立カレッジでは地域の住民が働き始めてからも技術の向上のトレーニングや州政府が行っている成人のアップグレード制度を活用した語学学習の機会の提供など多くのコースを提供して柔軟に学びと雇用の接続ができる環境を整備していることが明らかになった。 これらの研究を継続していくことで高齢化が進む日本において留学生や外国人留学生を受け入れて、個々人の価値観や学修歴を活かして学び、その後日本国内で働き定着していくまでの一貫したキャリア形成の支援策を検討する際の新たな視座に繋げていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染拡大のため、国内外の距離的な移動制限期間があり、現地調査はできなかったもののBC州政府の公式文書や教育団体や各機関が公表している情報を収集し考察は進めてきている。また国内の研究者やBC州の公立カレッジの担当者からの情報収集はオンラインによりインタビューを実施することができており、本研究に関わる現状の取組みやシステムに関する情報の聞き取り調査を行うことはできている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルス感染拡大の状況を確認しながら、国内の関係機関への訪問や、出来る限りR4年度中にカナダのブリテッシュ・コロンビア州のコミュニティカレッジや大学を中心に現地の学びと学び、学びと雇用の接続のシステム構築の取組について調査研究を行い留学生や移民の受け入れから定着に向けた教育支援システムを明らかにしていく予定である。また、カレッジや中等後教育機関で組織する団体の訪問も行い、州全体での方向性と課題を明らかにしていく予定である。加えてBC州で学ぶ日本人留学生や、日本で学ぶカナダ人留学生に対するインタビュー(もしくはアンケート調査)も進めて、実際に学びと学びを接続させている学生の現状も明らかにしていきたい。これらの研究で得られた成果は各学会等で広く公開していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、日本国内の研究者やカナダ人留学生へ訪問しインタビューやアンケート調査の実施と調査結果を分析ソフトの購入を計画していたものの、コロナ禍において、留学生の国内入国が困難な状況があり、対面での訪問調査はできなかった。しかし新たな手段として直接の訪問は叶わなかったが日本国内の研究者に対する情報収集はオンライン等で進めている。R4年度はカナダ国内へ渡航し現地の高等教育の資格審査機関やブリテッシュ・コロンビア州の大学やカレッジを訪問調査を行い、調査結果の分析を進める予定である。
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