研究課題/領域番号 |
21K02285
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
小野寺 香 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (60708353)
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研究分担者 |
小川 佳万 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (90284223)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中国 / 核心素養 |
研究実績の概要 |
中国において学校教育で育成を目指す学力観としての「核心素養」は、従前からその重要性が強調されてきた素質教育との関係では次のとおりいえる。素質教育は、その抽象性の高さから教育実践上の困難を抱えていた。核心素養は、能力観に関する国際的潮流、特にキー・コンピテンシーの能力観を前提にしながら、中国における翻案として定められ、それは素質教育の具体的実践を支えることが期待された。各学校段階においても、育成を目指すより具体的な学力として「核心素養」が定められ、高級中学では「普通高級中学課程標準」において各教科で「核心素養」が定められた。また、素質教育を推進するうえで、生徒の全面的な発達を総合的に評価するための制度も整えられ、具体的には「総合素質評価」が導入された。なお、大学入試が高校教育に与える影響力の大きさを前提として、「総合素質評価」は大学入学者選抜制度においても活用されることとなった。中国における大学入学者選抜制度は、選抜方法の多様化や、入試区分の増設など、入試制度の多様化に向けた試みがなされてきた。統一試験以外の多様な指標を用いた選抜は、大学の運営自主権の拡大を目的の1つとして導入された経緯があるが、そうした選抜の大学入試全体における相対的な規模は特に学術面で優れた受験生を対象としていたため限定的であった。それに対して、「総合素質評価」を選考基準として用いる選抜は、より多くの受験生が対象となる。大学入試制度が多様化するなかでいかに公正性が担保されようとしているかについて、「総合素質評価」の導入に焦点をあわせて考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、中国における高級中学の「核心素養」の評価について大学入学者選抜制度での位置づけとその公平性について考察することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、中国における高級中学の「核心素養」政策およびその制度的特質を素質教育との関係において考察し、その評価について大学入学者選抜制度における位置づけやその公平性を検討したことを踏まえて、今後は特に「総合実践活動」に焦点をあわせその学力観やその評価の在り方について考察していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究会や打ち合わせをオンラインにて行ったため、旅費が未使用となった。翌年度はそれらを対面で行い、現地調査も行うことによって、使用する こととしたい
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