研究課題/領域番号 |
21K02305
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
小林 純子 南山大学, 外国語学部, 教授 (00611534)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | フランス / 芸術文化教育 / 就学前教育 / エスノグラフィ |
研究実績の概要 |
令和5年度の研究では、フランスの学校における芸術文化教育の現状把握と、就学前教育機関に対する現地調査の準備の2つの側面において実績を残すことができた。 第一に、フランス文化省ならびに国民教育省が行った芸術文化教育に関する複数の調査から、フランスの学校は博物館や美術館などのミュゼのほか、劇団、オーケストラ、ラジオ局、メセナ財団、新聞社、古文書館、アーティスト、作家などの多様な文化機関や文化人とパートナーシップを結んでいることがわかった。また、フランスの大学に所属する研究者に協力を得て、司法制度の枠組みにおいて教育の対象となる子どもに向けた文化活動を明らかにすることができた。このことから、子どもの芸術文化との関わり方や、文化そのものの多様性に着眼点をおく本研究のテーマである「文化の民主化」をあらためて示すことができた。 第二に、現地調査の実現可能性を高めるため、フランスの大学に所属する研究者に協力を得て、幼少期の子どもを対象としたプロジェクトを中心に、準備と分析を進めることができた。具体的には、就学前教育専門家養成機関において関係者と調査に関する打ち合わせを行ったほか、小学校や中学校に比して制度が多様化している就学前教育機関については、日本の就学前教育制度との比較を行うことで理解を深めることに成功した。また、今後は就学前教育の専門家や関係者へのインタビューをはじめ、就学前教育機関におけるエスノグラフィックな調査を日本とフランスの双方で行うことを念頭に、研究における研究者のポジションと調査対象者との関係を考察するための方法論を検討した。この検討のために、スタンドポイント・エピステモロジーの知識や見解を参考にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フランスの大学に所属する研究者の協力を得て調査を行うことになったことから、準備に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査の実現可能性を高めるため、フランスの大学に所属する研究者の協力を得て、まずは就学前教育機関において教育関係者へのインタビューを行い、かれらが子どもの指導や教育の中で芸術文化活動をどのように位置づけているか、文化施設をどのように利用しているか、かれらの指導の方針や政策の受けとめ方を分析する。この調査のうえに、芸術文化活動の学習環境への効果や社会化との関係を考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外渡航が困難だった年度の影響で旅費の過年度未使用額が大きいため。今後は主に現地調査のための旅費として使用する予定である。
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