教育政策を議題化できない現在のマスメディアの構造的な特徴を2つ明らかにした。1つは、教育政策の問題性を物語として語ることが難しく、議題化しづらいことである。テレビの教育報道において子どもに関わる事件・事故が好まれるのは、報道する側の姿勢によるというよりも、その物語性が報道の時間的性質に合致しているからである。もう1つは、テレビの教育報道で取り上げられる物語化しやすいトピックは、お決まりの物語として陳腐化しがちなことである。その結果、より広い視野を持ってより構造化された教育世論を形成することを阻み、大きな社会問題が現れたときにまっさきに報じられなくなる程度の問題に教育問題を貶めてしまう。
|