研究課題/領域番号 |
21K02310
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大膳 司 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (60188464)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 大学教員 / 専門的活動時間数 / 規定要因 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
当該年度では、世界の20カ国の大学教授職を対象として実施したアンケート調査によって収集した42,401名のデータを使用して、専門的活動時間数(教育活動時間数,研究活動時間数、管理運営時間数など)が研究成果量とどのように関係しているかを多変量解析を用いて分析した。 上記データの中で、日本の大学教授職を対象とした2,014名のデータを使用し分析した結果、教育活動時間数は研究成果量とマイナスの関係に有り、研究活動時間数は研究成果量とプラスの関係にあることが明らかになった。 全専門的活動時間数に対する研究活動時間比率を年代別に計算し、そのデータを用いて20カ国を分類したところ、4グループに分類された。第1グループは,20・30歳代、40歳代、50歳代と年代が上がるにつれて研究活動時間比率が上昇する国々で、マレーシアなどがそうである。第4グループは、その逆で、年代が若い大学教授職ほど研究活動活動時間比率が多くなっている国々で、日本はこのグループに入っている。第2,第3グループも年代が若い大学教授職ほど研究活動時間比率が多くなっているが、第4,第3,第2の順に20・30歳代の研究活動時間比率が多くなっている。 それらのグループの特質を確認したところ、第4グループは、有期雇用比率が最も高くなっており、第1グループは、有期雇用比率が最も低くなっている。さらに、第4グループは、第1グループに比べて、キャリアの機会に恵まれていないと感じており、平均研究成果量も少なくなっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究計画はほぼ達成している。過去2年間は,コロナ禍によって、国際会議での発表が少なくなった。そのため、それらの予算を今年度に繰り越す結果になった。
|
今後の研究の推進方策 |
第1に、次年度は、研究最終年であるため、本来の研究目的である、大学教員の専門的活動時間数の規定要因を国際比較で明らかにするためのデータ分析を進める。 第2に、これらの研究成果を国際学会で発表する。 第3に、その成果をその国際論文に発表する。 第4に、当初の目標の中で明らかにできなかった課題や、本研究を通して明らかにすべきことが判明した課題を確定し、令和6年度以降の研究につなげるため、研究費獲得申請を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現在までの進捗状況にも記入したとおり、過去2年間は,コロナ禍によって、国際会議開催国の事情で、対面での国際会議発表ができておらず、次年度使用が生じた。次年度、最低2回の国際会議での発表が予定されており、その1回に対して、今年度からの繰り越し助成金を充てる。もう1回の参加費は、当初の計画に沿って、次年度の助成金を充てる。 さらに、大学教授職の専門的活動時間についてデータ分析の結果明らかになった点について、その理由をインタビューによって確認する。 これらの成果を、国内学会でも発表し、国内・国際論文に投稿する。
|