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2021 年度 実施状況報告書

移民集住地区における日系ブラジル人の教育戦略-世代・階層の違いに着目して

研究課題

研究課題/領域番号 21K02319
研究機関中京大学

研究代表者

三浦 綾希子  中京大学, 教養教育研究院, 准教授 (90720615)

研究分担者 芝野 淳一  中京大学, 現代社会学部, 准教授 (10758577)
渋谷 努  中京大学, 教養教育研究院, 教授 (30312523)
金南 咲季  椙山女学園大学, 人間関係学部, 講師 (80824979)
藤浪 海  関東学院大学, 社会学部, 講師 (90819947)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード移民 / 日系ブラジル人 / 教育戦略 / 世代差 / 階層差 / 移民集住地域
研究実績の概要

本研究の目的は、長期定住化に伴って多様化する移民家族の教育戦略を階層と世代の違いに着目しながら検討することであった。この目的を達成するべく、今年度は以下の調査を行った。

①移民集住地区に暮らす日系ブラジル人保護者に対する質問紙調査
移民の親の教育意識に関する調査はこれまで数多く行われてきたが、エスニックグループごとの比較が多く、エスニックグループ内部の多様性についてはあまり目が向けられてこなかった。さらに、夫婦でも教育意識に差があることが指摘されているが(藤浪 2020)、その違いの内実を明らかにした研究は多くない。本研究ではこの点を補うため、夫婦両方に質問紙調査を行い、かつ、世帯年収や滞日年数との関連性を分析した。分析の結果、教育関心と教育方針(学校依存型/親参加型)のありように違いが見られたため、いくつかのグループにカテゴリーした。
②移民集住地区に暮らす日系ブラジル人保護者に対するインタビュー調査
①の質問紙調査に基づき、各カテゴリーから1、2ケースを抽出し、インタビュー調査を行った。質問紙調査の回答を深掘りしつつ、質問紙調査では掬いとれなかった親の来日経緯やコミュニティとの関係性について尋ねた。インタビュー調査においてもなるべく夫婦双方に聞き取りを行った。その結果、移民集住地域に暮らしながらも、他のブラジル人と自らを差異化し、教育戦略を構築している家族の姿が明らかになってきている。また、教育意識が高くとも、具体的に進学に必要な情報が行き届いていない実態も明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日系ブラジル人が多く暮らす地域で長年教育支援をしているNPOの協力もあり、質問紙調査、インタビュー調査を順調に行うことができている。日系ブラジル人の場合、親が出稼ぎ目的で来日しているため、子どもの教育に関心を払う時間的、精神的余裕がないとされてきたが、定住化が進むにつれ、子どもの教育を最重要課題と位置づけ、生活を営んでいる層が出現していることが明らかとなっている。
インタビュー調査は一回につきメンバー3名が参加し、分担しながら進めている。また、調査と同時並行で研究会をオンラインで開催しており、議論を深めている。

今後の研究の推進方策

2021年度に行った調査結果をもとに、2022年度は2回の学会報告と論文投稿を予定しており、準備を進めている。
また、質問紙調査、インタビュー調査いずれについてもサンプル数を増やし、移民集住地区以外に暮らす日系ブラジル人にもアクセスすることを検討している。調査の拡大にあたっては、メンバーの増員が不可欠なため、新たに研究協力者として大学院生を数名迎える予定である。

さらに、調査結果から、教育意識が高くとも進学のための情報を十分に得ていない親が多いことが明らかになってきているため、研究調査と同時並行で進学のための情報を日系ブラジル人保護者に届けるためのパンフレット、動画作成やワークショップの開催を予定している。パンフレット、動画作成、ワークショップ開催にあたっては、研究に協力してくれているNPOとも連携して行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

covid-19の感染拡大のため、研究会を全てオンラインにしたことによって次年度使用額が発生した。未使用分については、次年度新たに迎える研究協力者の大学院生がインタビュー調査と学会に参加する際の旅費に充てたい。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 多文化に関わるフェスティバルの現状と課題 ―アンケート調査の結果をもとに―2022

    • 著者名/発表者名
      渋谷努
    • 雑誌名

      社会科学研究

      巻: 42(2) ページ: 185-218

  • [雑誌論文] 社会共創に向けた異文化間教育の展望:「聴くこと」を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      芝野淳一
    • 雑誌名

      異文化間教育

      巻: 55 ページ: 74-85

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ブラジル人学校の教育課題と地域との相互作用に関する基礎的研究2022

    • 著者名/発表者名
      金南咲季
    • 雑誌名

      人間関係学研究

      巻: 20 ページ: 45-64

  • [雑誌論文] 外国ルーツの児童生徒への教員のかかわり方の違いを探る―神奈川県A市の小中学校教員に対する質問紙調査から―2022

    • 著者名/発表者名
      清水睦美・根岸佐織・三浦綾希子
    • 雑誌名

      日本女子大学教職教育開発センター年報

      巻: 8 ページ: 19-28

  • [雑誌論文] 新二世の帰還移住と「ホーム」の構築過程:グアムから日本に進学した大学生を事例に2021

    • 著者名/発表者名
      芝野淳一
    • 雑誌名

      移民研究年報

      巻: 27 ページ: 19-33

    • 査読あり
  • [学会発表] 社会共創に向けた異文化間教育の展望:「聴くこと」を中心に2021

    • 著者名/発表者名
      芝野淳一
    • 学会等名
      第42回異文化間教育学会大会
  • [学会発表] ブラジル人学校と地域の関係:混合研究法による現状分析2021

    • 著者名/発表者名
      金南咲季
    • 学会等名
      異文化間教育学会第42回大会・日本国際理解教育学会第30回研究大会合同大会(オンライン開催)
  • [学会発表] コロナ禍で問い直されるフィールドワーカーの視野と前提――横浜市・川崎市臨海部に暮らす移民調査の経験から2021

    • 著者名/発表者名
      藤浪海
    • 学会等名
      関東社会学会2021年度第1回研究例会
  • [学会発表] 外国につながりのある児童への教師のかかわりの違いを探る ―神奈川県A市の小学校教員に対する質問紙調査から―2021

    • 著者名/発表者名
      三浦綾希子・清水睦美・根岸佐織・柿本隆夫・篠原弘美
    • 学会等名
      異文化間教育学会第42回大会
  • [図書] 「グアム育ちの日本人」のエスノグラフィー:新二世のライフコースと日本をめぐる経験2022

    • 著者名/発表者名
      芝野淳一
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779516580
  • [図書] 日本で学ぶ文化人類学2021

    • 著者名/発表者名
      宮岡真央子・渋谷努・中村八重・金城糸絵編
    • 総ページ数
      266
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      978-4-8122-2105-1
  • [図書] 日本社会の移民第二世代 : エスニシティ間比較でとらえる「ニューカマー」の子どもたちの今2021

    • 著者名/発表者名
      清水睦美・児島明・角替弘規・額賀美紗子・三浦綾希子・坪田光平
    • 総ページ数
      695
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      9784750352282

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公開日: 2022-12-28  

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